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9. スリランカ

Ms. E.A.R. Premaratna 氏

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日 本 政 府・

国際協力事業団(JICA)

「都市公共交通コロキウム」

カントリーレポート

スリランカ民主社会主義共和国

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「都市公共交通コロキウム」研修コース

2001 年

2001 年 5 月 15 日~2001 年 7 月 8 日

国土交通省 総合政策局 国際協力課

スリランカ道路開発庁 土木部長

B.A.R. Premaratna 氏

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会長・取締役会議

統轄部長

取締役 取締役 取締役 取締役 取締役 取締役 取締役 取締役 取締役 取締役 取締役 取締役 取締役 取締役

取締役 取締役P取締役P取締役

略記取締役A:管理運営P:計画立案ES:エンジニアリングサービスF:財務T:教育訓練MM&C:保全管理・建設M:機械HD:高速道路設計INT.AUD:内部監査R&D:研究開発L:地所、不動産JAP:日本支援プロジェクトAESP:アジア開発銀行プロジェクトMFAP:その他海外支援プロジェクト

プロジェクト取締役TEU:提出書類評価CKE:コロンボ―カトゥナヤカ高速道路STCP:南方輸送回廊プロジェクト

副取締役DD:副取締役DOD:副取締役

BD:陸橋設計HD:高速道路設計P:計画立案

POD:州理事CEE:チーフエンジニアSEE:シニアエンジニア

CEM:機械チーフエンジニアDEE:設計エンジニアGEO:地質学者

REE:駐在エンジニアLO:法務官MATEEE:資源エンジニア

EEE:エグゼクティブエンジニアEE:エンジニアALO:法務補佐官

DOA:設計室補佐TO:技術官

SO:統計官TRO:運輸官MECSU:機械指導監督者

PRO:広報官AO:事務官SACCT:上級会計士

ACCT:会計士SUR:測量技師PMAST:進捗管理補佐

SA:スタッフ補佐BSEC:取締役秘書CHE:化学者

ACTAS:会計補佐INTAUDR:内部監査役STE:上級交通調査員

TE:交通調査員RO:書記官SSTF:サポートスタッフ

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SRI LANKA ON THE

WORLD MAP.

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CENTRAL ASIA

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1.0 はじめに

1.1 概説

 スリランカ民主社会主義共和国は、何世紀もの間、セイロン島として知られてきた。インド洋

で北緯 5.55 度、東経 79.42 から 81.25 度の間に位置する。

 大統領は、市民により選出される。閣僚は、大統領が任命する。中央政府は、その職務は閣僚

により運営されるが、そのうちいくつかの職務は 9 州議会へと発展してきた。また、議員も市民

により選出される。

 州議会は、その閣議では、閣僚が職務を管理運営するが、同時に地方議会および村議会(Pradesiya

Sabas)も管理運営する。スリランカは、万人に選挙権を与えているが、その選挙権取得年齢を 18

歳としている。

 行政運営の目的で、スリランカの管轄区は 25 区に分かれている。

 スリランカの現状

 人口  1,800 万人以上

 人口密度  280 人/km2

 土地面積  65,616/km2

 言語  シンハラ語およびタミール語

 衛生  平均寿命

     男性  62.5 歳(1994 年)

     女性  73.5 歳(1994 年)

     乳幼児死亡率  16.9/1000(1996 年)

     人口増加率  1.4%

     教育  大学レベルまで自由教育

     稲田・水田  5,457 km2(8.3%)

     ココナッツ農園  4,164 km2(6.3%)

     紅茶農園  2,128 km2(3.4%)

     ゴム農園  1,946 km2(3.0%)

     その他農地  2,125 km2(3.2%)

     森林地帯  22,102 km2(33.7%)

     その他  22,597 km2(42.1%)

2.0 スリランカの交通システム

 道路と鉄道の 2 つがスリランカの交通機関の形態である。

 政府が維持管理する道路の総延長は、約 26,000 ㎞である。市町村の保有する道路および農道を

含めたスリランカのすべての道路は、約 90,000 ㎞と推定される。そのうち、距離にしてほぼ 11,000

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㎞が国道とされる。これらの道路はすべての地方に続いている。

 英国統治時代、良好な交通手段として、およそ 1,452 ㎞の鉄道が建設され、主要都市はコロン

ボ海港へとつながった。

 スリランカの貨物の交通手段の内訳

種  類 割 合

鉄道 15.7%

貨物自動車 82.5%

船舶 1.8%

2.1 道路開発庁

 道路開発庁(RDA)に属する交通省は、11,000 ㎞におよぶ国道および 3,140 の橋梁を管理する

責任を負う。国道に加え、島の 8 州議会が管理する州道 15,733 ㎞、2,160 ヵ所の橋梁もある。

 RDAの遂行する主な職務

(a)ハイウェー投資プログラムの政府への提案

(b)毎年のハイウェー投資プログラムの作成

(c)既存国道ハイウェー網の維持および改善の実施

(d)新規ハイウェーおよび橋梁の立案、設計および建設

(e)海外支援によるプロジェクトの管理運営

(f)交通輸送に係る問題の削減および安全性強化策の実施

(g)ハイウェーおよび橋梁の経済的かつ効率的、および効果的建設および維持管理技術の調査研究

3.0 市民に関わりのある都市区域交通の現状

 関係区域は、コロンボ大都市圏(CMR)であるが、当大都市圏は、西部諸州の典型であり、コ

ロンボ、ガンパハ、カルタラの3管轄区からなる。

 コロンボ都市域は、社会的および経済的な有機的組織体であり、ほぼ 480 万人の人口が共に生

活している。人口密度は、1平方キロメートルあたりほぼ 1,344 人である。この地域の都市構造

は、おもに一極集中した大都市圏から分離して集まった帯状発展都市である。

 コロンボは、大都市圏(CMR)内、スリランカの最大都市であり、その経済力、商業力、行政

機能により人々を集めている。コロンボ市は平日で約 1.5 倍の流動人口を受け入れる。郊外通勤

者は、コロンボに向かうために様々な輸送交通システムを利用している。

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 民間および公共両者の運営によるバス約 27,215 台についての調査予測によると、一日に958,000

人の乗客が都市に流入している。また 560,132 人が約 243,459 台の民間車両を利用している。鉄道

を利用する通勤者の数は、およそ 165,000 人と推定される。9 ヵ所の入口地点から都市に流入する

車両は、平日で、およそ 275,000 台と算定されるが、これは都市居住者の車両利用による交通量

も含まれた数字である。

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地図 3.1a

Colombo Metropolltan Reglon

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 都市に流入する車両および通勤者も、年々増加している。同時に、その都市の許容範囲内での

居住人口および車両保有者の増加も、前例のないほどである。

 この地域において必要な組織体形は、「交通システム」だけである。

3.1 現在の交通インフラ設備――コロンボ大都市圏(CMR)

(a)道路システム

 CMR の道路組織網は、主に東から西へと半径方向にひろがる放射状である。これらのほとんど

は、2 車線か 3 車線の道路、車線毎の区分のない 1 車線、1 時間につき、およそ 1,200 pcus が容量

のハイウェーである。ベースラインとなる道路は、3 車線のハイウェーであるが、それは、内環

状線としても利用できる。CMR には、軸となる半径方向の路線として利用可能な東西にのびる主

要路線が 8 路線ある。コロンボ市内の道路は、地方議会が管理運営している。

 国道網は、道路開発庁が管理運営している。国道以外の道路は、州の道路開発庁の管轄する西

部諸州議会が管理運営している。

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地図 3.1b Diagrammatic Map of the Rail Facilities in the Study Area

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スリランカにおける交通の主要関係組織

SLR: スリランカ鉄道

NTC: 国家交通委員会

RDA: 道路開発庁

NRSC:国家道路安全評議会

TMU: 交通管理部隊

UDA: 都市開発庁

RCDC:道路建設および開発会社

NRSS: 国家道路安全事務局

PRDA:州道開発庁

PRTA: 州道交通省

国家政府

交通省 都市開発庁 州当局および地方政府交通省交通省

計画立案部隊 警察庁 州議会

建設開発交通区域 州知事 交通課 地方自治体その他

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(b)鉄道システム

 鉄道は、スリランカ鉄道が管理運営している。都市中心部に、鉄道設備の大規模な施設がある。

・全ネットワークの 2 大旅客駅――フォート駅、マラダナ駅

・貨物ヤード――コロンボヤード

・スリランカ鉄道事務所

・客車側線

・主要機関車基地――マリガワッタ駅

 複合施設の提供する 4 線の旅客サービス

・幹線

・プタラム線

・カラニ・バレー線

・コースト線

 カラニ・バレー線以外のすべての路線で貨物輸送が実施されている。CMR 内鉄道設備による路

線図を図 3.1(b)に示す。

3.2 CMR における現在の交通輸送サービス

 道路および鉄道が CMR の交通の形態である。スリランカの交通機関に属する主要組織を図 3.2

のフローチャートに示す。

3.2.1 道路交通

 1999 年のスリランカ経済・社会情勢統計データによると、西部州の保有車両は以下のとおりで

ある。

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車   種 西部諸州 全   島

乗合自動車(バス)

自家用車

オートバイ、三輪車

貨物輸送車

農耕車

自家用馬車

その他

合計

4,352

89,289

149,602

25,418

7,122

5,152

1,934

282,869

11,461

134,302

386,248

61,856

46,118

10,066

6,950

657,001

(a)バス交通

 バスは、車道輸送の効率性を維持するにあたり、必須手段と見なされている。バス輸送の需要

は、バスそれ自体の輸送能力をはるかに超えた勢いで増している。これは、公共および民間部門

両者によるバス運営能力では、負担が大きすぎることが原因である。公共交通機関の悪化が、自

家用車の利用を増加させ、CMR の混雑を招いている。

CMR 交通局

 現在、コロンボのバスの運行は、3つの公共事業局が管理している。

・西部諸州旅客交通局(Western Province Road Passenger Transport Authority)

・国家交通委員会(National Transport commission)

・スリランカ中央交通局(Sri Lanka Central Transport Board)

バス路線

 西部諸州には、以下の 933 のバス路線が存在している。

・680 路線の州内サービス

・205 路線の州間サービス

・48 路線の一等車両大都市間(インターシティ)サービス

 これらの路線のほとんどが、Pettah のバス停を終点とするが、Pettah は乗客で混雑する中、バス

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の折り返し地点であるのでかなりの渋滞となる。

3.2.2 鉄道輸送

 鉄道組織は、優れた設計により、現在、乗客の 10%を運ぶコロンボへの放射方向の主要 5 路線

のうち 4 路線をまかなっている。

 主要路線および海岸線(Coast Line)については、CMR は、各駅停車および主要駅にのみ停車

する急行列車の両方の旅客サービスを提供している。

 各駅停車は、主に、「電車」である。

 貨物列車は、コロンボヤードと外国との間を運行する。

 これらの列車は、主に夜行列車であり、日中、機関車(の運用)と旅客車の移動を妨げないよ

うなシステムである。

4.0 市民に関わりのある都市圏における主要都市交通の問題

 CMR が現在直面する主要都市交通についての問題を以下に示す。

4.1 交通渋滞

 CMR が現在抱える交通問題は、交通渋滞の増加に表れている。

 都市の車両数が、混雑の唯一の原因ではない。駐車場の不足により歩行者設備が不十分であり、

平日の勤務時間中の大量の自動車の高速道路への駐車、また、公共交通機関の不足なども同様に、

交通渋滞の問題を引き起こす重大な問題である。

 道路利用者の動向および都市の交通を観測すると、交通渋滞の第一の原因は、ドライバーの秩

序の乱れというよりは、むしろ道路網の性能の物理的な不十分性にあることがわかる。 二つの

主要な問題として、以下が挙げられる。

 ・車線規制の不足

 ・優先規則の理解不足

 車両の遅滞を引き起こす主な直接原因としては、以下が挙げられる。

・交通機関、歩行者とその通路との相互の影響

・交差点管理または利用しやすい交差点の設計(レイアウト)の欠如

・道路と鉄道間の区分線の欠如

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 結果として、日中の車両走行速度が、都市のほとんどの場所で平均して時速約 10 ㎞にまで落ち

ている。郊外では、平均走行速度は、30~40 ㎞か 40~50 ㎞の範囲内である。この交通渋滞は、

車両所有者の維持費を押し上げ、結果として国家経済の相当な損失をもたらすことを意味する。

4.2 駐車設備の不足

 都市圏におけるもうひとつの問題は、駐車設備の不足である。都市中心部では、利用できる街

路から離れた駐車スペースがほとんどなく、路上駐車スペースも需要には追いついていない。利

用できる路上駐車スペースは、長時間駐車する車両に独占されている。

4.3 歩行者設備の不足

 交通には歩行者設備の不足による問題がある。このことは、路上事故の統計データに顕れてい

る。CMR の通りの多くは、歩道がないか、またはあっても幅が狭い。しかし現在ある歩道は、路

面状況が悪い、または建材、ごみ、ポスト、物乞い、車両駐車など障害物が多いといった理由に

より、利用困難であるか利用不可能である。多くのドライバーは、定位置の横断歩道を無視する。

歩道橋もあるが、歩行者は、歩道橋が不足していることや、その配置が悪いなどの理由で、多く

の場合は利用されない。

4.4 公共交通機関の劣化

 主な交通問題のひとつに公共交通機関の劣化がある。バスおよび鉄道の両方のサービスについ

て、その根本的な資金不足、組織および運営が不十分であることがある。交通システム整備のた

め、公的資金が補足的に一部助成されてきた。

 助成金が削減されたりせずに、また、交通予算を、根本的に資源を増やすために利用できなけ

れば、今後増えつづけるニーズの対応は期待できない。

4.4.1 バスサービス

過剰混雑

 主な問題は、過剰な混雑である。民間バス会社のサービスも市町村のバス会社も、必要時、多

数のバスが出払っているという理由で、必要かつ期待されるサービスを現場に提供できていない。

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サービスへの不信

 バスの利便性が悪いこととならんで、その運用の困難さは、バスサービスに対する信頼性をな

くし、混雑を招いている。

各バス停の分離

 都心のバス停およびある郊外のターミナルでは 2 区域に分かれているが、その区分は、統合サ

ービスにはつながらず、乗客に不便をもたらしている。

バス運営業務

 運転マナーの悪さや訓練の未熟な車掌は、乗客を不愉快にさせる原因となっている。ターミナ

ルやバス停で通常以上に多くの乗客を待つという習慣は、そのほかの乗客に必要のない遅滞をも

たらし、過剰なバスの混雑を生む原因となる。

 多数の民間部門の小型バスは、不必要な混雑を招くとともに、いくつかの主要路線に混乱を招

いている。この傾向は、より大型のバスを入手することが困難なことが理由の一部であり、また

ある部分では、民間部門の運転手が利用できる資本が欠如していることにも起因する。乗客のバ

ス需要が高く、交通渋滞の多い道路では、30 席以下の小型バスではなく、40 席以上の座席のある

大型バスを運行させた方が、概して有益となる。小型車両は、需要の低い路線、または大型車の

運行が困難な地形の路線には適しているかもしれない。

4.4.2 鉄道サービス

 スリランカ鉄道(SLR)は、早急な解決を要する多くの問題に直面している。

・低速――コロンボ市の通勤路線サービスの駅間走行距離は平均 2 ㎞以上であるにもかかわら

ず、平均速度は時速 30 ㎞以下である。

・低信頼性――最近の調査によると、コロンボ市の通勤路線サービスでは、到着予定時刻に対

して 50%以下が 6 分以内の到着、20%以上が 20 分以上遅れており、複線の幹路線(Main Line)

が最悪を記録した。

・過剰混雑――最近の SLR の列車調査によると、定員 1,330 人の列車では 2000 人まで、定員

640 人の列車については 1,000 人の乗客を乗せていることがわかっている。

 一方、提供されるサービスは低品質ではあるが、乗車運賃は非常に安く、乗客の需要は明らか

に SLR の供給能力を超えている。

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 上記の問題の主な原因は以下のとおりである。

・運行スケジュールに対して不足している車両数

・有効車両が少ないことから生じる頻繁な運行取り消し

・頻繁な「一時的」速度制限、単線規制による運行サービスの遅れや、逆行列車の運行制限、

そしてさらなる交通障害を引き起こす脱線などにいたる鉄道線路状況の悪さ

・旧式で信頼できない信号設備、特にタイラー・タブレット

・停止時間の延長、列車の遅れをもたらす、列車とプラットフォームの長さと高さの不適合

・運行と維持管理の非効率性を導く専門性・機関操縦技術・管理方法の欠如と、資源利用法の

不足

・収益につながらない乗車運賃、不十分な給与、SLR の保全修理材購買力の限界

・資金利用可能時においてさえ、その材料および交換部品の購入を遅らせることになる手続を

要する公共セクターの複雑性

・機材および鉄道線路保全車両の不足

 主要かつ重要な問題は、「公共交通システム」には事実上その費用をまかなう能力はないという

事実である。

4.5 不十分な道路保全および道路修復

 不十分な道路維持管理および道路修繕の状況は、もうひとつの交通問題である。コロンボ州議

会の管轄内での現在の維持管理実施レベルは、道路網の品質の悪化を防止するには不十分である。

いかなる手段を講じてでも、CMR の莫大な走行距離には道路修繕が必要である。

4.6 交通事故

 交通事故も、CMR のかかえる交通問題である。交通量が急速に増加し、交通事故数の増加もま

た深刻になっている。

4.7 環境汚染

 交通機関による環境汚染は、排気ガス汚染が原因であり、考慮すべきひとつの重要課題である。

 スリランカでは、定期的な車両点検を必須とする規定がない。エンジンを定期的にチューニン

グすれば、燃料の効率が良くなる上に、大気汚染の減少にもつながる。近隣の居住者および歩行

者の迷惑となる警笛からの不必要な騒音が氾濫している。歩行者や車両の通行の妨げとなる通行

路の障害物となってしまうごみの収集や排除も、定期的に実施されているわけではない。

Page 20: Ms. E.A.R. Premaratna 氏jtca.or.jp/database/houkoksyo/2001/Ms.E.A.R.Premar.pdf5,152 1,934 282,869 11,461 134,302 386,248 61,856 46,118 10,066 6,950 657,001 (a)バス交通 バスは、車道輸送の効率性を維持するにあたり、必須手段と見なされている。バス輸送の需要

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 「交通需要の増加」は、見直すべき最重要課題である。現在の交通問題に対して効果的な活動

が実施されなければ、これはさらに悪化するだろう。

5.0 市民に関わりのある都市圏公共システムを含む都市交通将来計画

 CMR の今後の計画について、公共システムを含めて以下に示す。

5.1 交通インフラ設備の改善

 CMR の都市交通システムには、良好な設計、健全な建設、適正な補修を必要とする大規模なイ

ンフラが必要である。ただし、多大な費用を要する新しいシステムの構築に着手する以前に、既

存のインフラをできるだけ有効に使うことが最優先である。

5.1.1 道路システム

(a)道路システムの保全および再建

 道路システムを修復すると、輸送は大きく向上する。いくつかの重要な道路は、道路の効率を

最大化するため、世界銀行の融資により修復されている。

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Alternate Trunk Road proposed by RDA

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(b)内部および地域道路網へのアクセス制限の提案

 スリランカは、現在、道路へのアクセスを制限していない。このような高い移動性を備える道

路網に不可欠の要素は、スピードと安全性である。予測可能な将来において、スリランカ程度の

面積の国での輸送手段としては、高速鉄道や国内航空は必要ではない。

 時速 120 ㎞に設計された現代のハイウェー網は、スリランカの長距離移動には十分に適してい

る。しかしこの速度を実現するには、道路へのアクセスを管理制限する必要があり、そのため道

路網の効率化および最適な組織化が計画されてきた。

 現在、道路へのアクセスを制限するこのようなシステムを開発するためのいくつかの提案があ

る。

・コロンボ――カトゥナヤカ高速道路――4 車線ハイウェー延長 25 ㎞が実施段階

・サザン・ハイウェー――4 車線ハイウェー50 ㎞が現在設計段階

・市外環状ハイウェー――JICA の資金によりフィージビリティ・スタディ中

・キャンディ道――キャンディ道に続く道路へのアクセス制限を考慮し、実現可能性について

プレ F/S 段階

・軌道(および道路延長)――建設第1段階終了

図 5.1.1(b)RDA 提案の代替幹線道路

 CMR のその他の主要プロジェクト

・海上輸送――海岸線の軌道に沿った 2 車線ハイウェー

・道路幅を 2 倍に拡幅

・世界銀行プロジェクト――世界銀行の融資による拡張以外に、いくつかの重要道路の修復

5.1.2 鉄道システム

(a)鉄道システムの保全および再建

 鉄道再建プログラムには、以下を目的とした軌道再建および車両再建を含む。

・一時的な速度制限の排除

・信号故障の削減

・軌道および車両整備の削減

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・脱線の削減

・故障機関車の順次修理

(b)CMR 構築計画における鉄道システムの改良提案

・鉄道の複線化:実施段階

・ループ線:検討中(CMR の中核となる地域の開発)

・鉄道の電化:検討中

・軽便鉄道:CMC 管轄内および郊外で、軽便鉄道を整備する BOT プロジェクトについて、CMC

および UDA から関心の表明。本システムは、若干の主要輸送ルートには十分であるが、現

在の低運賃では、資金が収益でまかなえない状況。

・郊外サービスの向上:ディーゼル総括制御列車 15 台新設において、新規鉄道車両を郊外路線

に追加することが期待される。

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図 5.1.2(b)CMR の主要鉄道プロジェクト

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5.2 公共交通機関の改善

 公共交通機関の改善は、CMR の優先事項として考慮すべき問題である。これには、列車および

バス運行という見地から見て運行数と同時に品質の改善が含まれる。

 持続可能な水準の範囲内で、車両および交通機関の水準を維持するために、公共交通機関にお

いて次の成長率を CMR 内で維持するものとする。

予想成長率行 政 区

公共交通機関 民間交通機関

CMC 4%-6% 2%-3%

コロンボ管区 4%-6% 5%-7%

CMR 6%-8% 7%-9%

5.2.1 バス輸送

 次の段階では、バスの効率化と過剰混雑の問題を含めたサービスの品質改善を図る。

・行政区の交通会社に対する、公共部門運転手の再編成

・保有車両運転手について、最低バス 50 台ごとに民間部門運転手を採用、再編成

・西部諸州交通局による現在の規定の強化

・主要軌道のバス車線の構成において、バス優先対策の導入

・パークアンドライドの検討

5.2.2 鉄道輸送

 スリランカ鉄道は、列車サービスの性能向上、設備の有効利用および設備性能の向上、乗客数

および収益の増加を目標とした長期開発計画に取り組んでいる。

・輸送車両の再建、移動性の再建および新規車両の購入における、OECF などの外部支援

・単線から複線へ、複線はさらに拡張

5.2.3 鉄道による移動を奨励

 改善案は、道路輸送に対抗して鉄道輸送を促すものであるが、これはラッシュアワーの容量問

題など、長期的に取り組むことで効果があるものとされる。

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5.2.4 新大量輸送システム

 新しい大量輸送システムは、2030 年の交通需要に対応するためには、CMR にとっては最も緊

急を要する問題として存在している。MRT および LRT のシステムは、ともに最後の選択として

検討されてきた。大量高速輸送システムにとっては、いくつかの放射状の軌道は持続可能である。

その需要水準および運用形式は、専用軌道である LRT システムが最も適しているとされている。

5.2  CMR の中心地内における TDM(交通需要管理)

 次の交通需要管理対策は、限られた道路のスペースを管理するために推奨されるものとする。

・駐車スペースの制限が設けられる場所、および限られたスペースでの需要にあわせた駐車料

金の値上げが実施される場所での駐車に関わる方策を実施する。

・CMC 管区内道路のピーク時の電子料金徴収システムを実施し、ピーク時における利用時間の

短い車両による道路の非有効利用を、料金を徴収することにより防止する。

・パークアンドライドを基礎とした道路および鉄道の稼動を奨励する。

・道路から鉄道への貨物輸送の転換を基本とした陸路経由を転換する。

・地域ごとの農産物の配給センターを設定し、国内取引に関連する移動を最小限にする。

・需要の拡散、乗降の分担、在宅勤務、および適宜その他の類似した方策を導入および奨励す

る。

5.3 交通管理政策および戦略の見直し

 スリランカには、交通分野にいくつかの管轄機関があるが、交通管理政策および戦略には、明

らかに法的拘束力がなく、その計画実施能力が不足している。したがって、定まった原則に基づ

き、高水準の組織幹部の集まりである交通管理議会(TMC)が、政策および戦略を立案し、交通

管理計画を決定し、その計画に対し資金を提供している。

 その他の職務としては、研究開発、計画実施のモニター、交通管理を訓練するコーディネータ

ーとしての活動、および実施部隊への指導助言の提供がある。

 道路開発庁、コロンボ州議会(主に駐車設備の準備と道路の安全設備の設置)、および警察庁の

交通管理能力の強化を援助することが目的とされてきた。

 これは、スリランカの効率的でより安全な道路利用を促進するものである。

5.4 道路の安全性強化対策

 道路の安全性の向上、およびネットワークの効率化の秘訣は、運転の一般基準を改善すること

にある。運転手の交通法および交通規則に対する理論的な理解を高め、車両を運転する場合にこ

Page 27: Ms. E.A.R. Premaratna 氏jtca.or.jp/database/houkoksyo/2001/Ms.E.A.R.Premar.pdf5,152 1,934 282,869 11,461 134,302 386,248 61,856 46,118 10,066 6,950 657,001 (a)バス交通 バスは、車道輸送の効率性を維持するにあたり、必須手段と見なされている。バス輸送の需要

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の知識を適用する実際的能力の両方を開発するため、有効な免許を正式に与える運転試験の手順

が提案されてきた。

 車両状態が悪ければ、道路の安全性に問題を引き起こし、環境汚染をも引き起こすのは明らか

である。そこで、毎年、すべての車両に対し、その車両状態を保証する証明書を発行する案が出

されてきた。

 政府は、道路利用者に対し、メディアを通じて教育することを提案してきた。そのひとつの段

階として、最近になって、道路安全事務局(road safety secretariat)と呼ばれる新しい部門が交通

省に設立された。

5.5 合法および違法開発の規制

 開発管理の法律制定を見直し、適切な規定を確立することが提案されてきた。

・ハイウェー通行権の範囲内での開発を規制すること

・ハイウェー上、またはハイウェー付近に不適切な行為を規制すること

・ハイウェー周辺の、街路から離れた駐車規定を規制すること

 CMR 管区内の軸となる交差点の改善が提案されている。