Environmental Engineering 2008 - 東京大学Engineering 2008 教授 大垣眞一郎...

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URL: http://www.env.t.u-tokyo.ac.jp 東京大学工学部 都市工学科 都市環境工学コース 東京大学大学院工学系研究科 都市工学専攻 都市環境工学講座 E nvironmental Engineering 2008

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Page 1: Environmental Engineering 2008 - 東京大学Engineering 2008 教授 大垣眞一郎 都市工学専攻 講師 片山浩之 都市工学専攻 教授 花木啓祐 都市工学専攻

URL: http://www.env.t.u-tokyo.ac.jp東京大学工学部 都市工学科 都市環境工学コース東京大学大学院工学系研究科 都市工学専攻 都市環境工学講座

E nvironmentalEngineering

2008

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教授 大垣 眞一郎都市工学専攻

講師 片山 浩之都市工学専攻

教授 花木 啓祐都市工学専攻

講師 栗栖 聖先端科学技術研究センター

教授 山本 和夫環境安全研究センター

准教授 福士 謙介サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)

准教授 中島 典之環境安全研究センター

「都市環境工学」は、都市の内部だけでなく我々の生活の場、生産活動の場全てを対象として、安全かつ快適な環境を将来世代にわたって創造していくこと、自然と共存した持続可能な社会を形成していくことを目的としています。そのために、新しい科学技術を取り入れながら適切な技術やシステムを開発し、それをどのように展開すべきかを社会に向け提案していくのが「都市環境工学」の使命です。

都市環境工学コースは、都市工学科衛生工学コースとして、都市工学科とともに1964年に発足しました。当時は水質汚濁、大気汚染などさまざまな公害が問題となっていた時代であり、水供給や廃水・廃棄物の管理、水質汚濁の解析など、我々の生活環境を守るための技術やシステムが我々の研究領域でした。

その後、環境に関する問題は、従来の公害から、オゾン層の破壊や地球温暖化などの地球規模の環境問題、生態系の保全、微量化学物質による環境汚染、循環型社会の構築、など多様化しています。また、バイオテクノロジーやITなどの科学技術の発展もめざましく、環境問題の場でこれら新しい科学技術が応用されつつあります。

教授 味埜 俊新領域創成科学研究科 環境学専攻

准教授 佐藤 弘泰新領域創成科学研究科 環境学専攻

特任講師 小貫 元治サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)

客員教授 村上 孝雄水環境制御研究センター

客員教授 高田 秀重水環境制御研究センター

環境システム研究室

環境質リスク管理研究室

環境微生物機能研究室

水環境制御研究室

都市衛生工学研究室

特任助教 村上 道夫総括プロジェクト機構 「水の知」(サントリー)総括寄付講座)

教授 滝沢 智都市工学専攻

助教 小熊 久美子都市工学専攻

教授 古米 弘明水環境制御研究センター

講師 栗栖 太水環境制御研究センター

助教 春日 郁朗都市工学専攻

都市水システム研究室

環境汚染の機構の解明と環境の修復・保全持続可能な発展を支える都市システムの提案バイオテクノロジーの環境問題への適用安全かつ快適な生活環境を創造する技術やシステムの開発

現在、6つの研究室からなる都市環境工学コース/講座では、以下のような観点から研究・教育活動を進めております。

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<環境微生物機能研究室>廃水処理微生物生態系の種構成や機能の解明

廃水処理微生物生態系における種間競合機構の解明と応用

廃水からの窒素・リンの同時除去のための新しい技術開発

廃水処理プロセスのモデリング゛と設計・運転支援

下水道システムにおける環境管理とその評価に関する研究

環境教育の構造化と実践

(07年度卒論題目)

• スウェーデンにおけるバックキャスティング型環境政策の評価

<都市衛生工学研究室>都市の水環境における病原微生物の挙動解析とその制御

水道における健康リスクの解析と制御

国際地域における健康環境の調査と政策提言

紫外線による環境浄化技術の原理と応用

水中の病原微生物の定量法の開発

(07年度卒論題目)

• 下水処理水の間接利用における微生物リスクの推定• 降雨後の東京湾沿岸域におけるウイルスおよび指標微生物の消長• 下水二次処理水の紫外線消毒における大腸菌の光回復の評価

研究テーマ

<水環境制御研究室>雨水浸透・処理水再利用を導入した都市水循環系の構築

都市域における雨天時汚濁流出現象解析と未規制リスク因子の制御と定量的把握

都市における微量汚染物質(PAH・重金属・医薬品)の動態解析

都市河川における物質動態と河口域底質の生態毒性評価

ベンゼン・クロロエチレン類の嫌気バイオレメディエーション技術にかかわる

微生物群集の制御法の開発

遺伝子発現解析や放射性トレーサー技術を用いた生物処理・浄化微生物の解析手法の開発

(07年度卒論題目)

• 培養法と分子生物学的手法を用いた浄水工程及び給水末端における細菌群の多様性評価• 嫌気ベンゼン分解土壌微生物活性化のためのメタン生成菌添加とベンゼン濃度影響の検討

<環境システム研究室>温室効果ガス排出の少ない社会に向けた都市システムの提案

未利用有機性廃棄物の利用戦略

バイオ燃料のポテンシャルと環境面の効果の評価

統合的アプローチによる環境改善シナリオ評価

環境配慮型行動・環境価値形成に及ぼす心理学的影響因子の抽出

地域水循環モデルの評価

分散型排水処理における微生物機能の有効利用

(07年度卒論題目)

• パプアニューギニアにおけるバイオエタノール生産による影響評価• 宇都宮市における都市構造の違いによる民生部門CO₂削減対策への影響• 関東圏における需給バランスと温室効果ガス発生量からみた食品廃棄物リサイクルシステムの評価

<環境質リスク管理研究室>都市内水資源の持続的活用のための次世代MBR(メンブレンバイオリアクター)の開発

微生物による有害金属汚染地域の浄化技術開発

ベンゼン・農薬などの嫌気的分解に関与する微生物群の検討

太陽と池を利用した有機性廃水の資源化技術開発(タイ及び中国での現地共同研究)

生態毒性に着目した底質評価手法の検討

バンコク市街地沿道環境のリスク評価と管理手法(タイでの現地共同研究)

有害廃棄物のオンサイト安全化処理技術開発

固形廃棄物管理手法

(07年度卒論題目)

• 亜鉛の化学形態と藻類増殖阻害に及ぼす下水処理水中有機物の影響• 耐酸性植物による重金属汚染土壌の浄化~塩化第二鉄による重金属の溶出促進とファイトエキストラクション効率の向上~

• 底泥付着多環芳香族炭化水素の模擬消化管液による脱着に影響を及ぼす因子の検討• 中国における穀物系バイオマス生産ポテンシャルに関する研究

学部の授業では、多くの時間を演習や実験に当てています。これは、自ら考え、手を動かし、学ぶことを通じて、与えられた課題を受動的にこなすのではなく、社会の中で自力で問題を抽出し、それを解決していく総合的能力を身につけてもらうための、特徴的なカリキュラムです。

また、大学院に入ると、研究室間の垣根なく、横断的に研究が進められるのも本コースの特徴といえます。大学院生の居室や実験室は研究室の別なく共同で利用し、また、毎週1回の発表会は2-3研究室で合同の研究会として行われます。他の研究室の教員・学生と議論を交わし、交流を深められる自由な雰囲気に溢れています。さらに、留学生が多いことも特徴的です。2008年春現在、51名の全大学院生のうち24名(約5割)が留学生です。国際色豊かな雰囲気の中で、視野を広げ、自らを磨く場が提供されています。

本コースの特徴

<都市水システム研究室>都市と地下水環境

アジアの都市水システム

高度浄水処理(膜ろ過、ナノスケール吸着剤、紫外線処理など)

都市水道システムの計画及び維持管理

地球温暖化による都市水システムへの影響

都市域における微量汚染物質のモニタリングとリスク評価

(07年度卒論題目)

• 東京大学本郷キャンパスにおける地下水の有効利用計画

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<2007年度 修論題目>

• プラスチック製容器包装廃棄物の材料リサイクルに着目したカスケード利用の環境負荷削減効果(環境質リスク管理)• 清掃工場焼却排熱を利用した地域冷暖房導入によるCO2排出削減量の推定(環境システム)• 水中ウイルスの感染力評価と検出阻害抑制を目的としたウイルス抗原捕捉 PCR法の開発(都市衛生工学)• 生物活性炭付着微生物の呼吸活性に着目した同化性有機炭素分解微生物の評価(水環境制御)• 高温接触酸化型トイレにおける発熱に寄与する細菌種のスクリーニング(環境システム)• RNA arbitrarily primed PCR(RAP-PCR)法による活性汚泥微生物群の遺伝子発現プロファイル評価のための検討 (水環境制御)• Health Effects and Hydrogeology of Fluoride in the Chiang Mai Basin, Thailand(都市水システム)• 基質資化微生物検出のための微生物叢ゲノム断片を用いたアイソトープアレイの開発 (水環境制御)• 安定同位体比を用いた東京の地下水水質影響因子の解析(都市水システム)• 雨水浸透桝堆積物による道路排水中重金属類の化学形態別吸脱着特性 (水環境制御)• 嫌気性消化汚泥の固液分離におけるダイナミック濾過の適用可能性(環境質リスク管理)• エアロゾルからの腸管系ウイルスの定量法および下水処理場への適用(都市衛生工学)• カイミジンコ毒性試験を用いた道路塵埃及び都市河川底泥の毒性要因の推定(水環境制御)• 傾斜板を設置した汚泥高濃度保持槽における流動状態の計算格子型二流体モデルによる解析(環境質リスク管理)• 紫外線照射の病原性ウイルス指標微生物の不活化における銀併用による相乗効果の評価(都市衛生工学)• Chemical Reduction of Nitrate by Nanoscale Zero Valent Iron(都市水システム)

卒業生からのメッセージ

私は、京都議定書にあるクリーン開発メカニズム(CDM)における、都市での対策評価に関する研究を行っていました。CDMは、先進国が技術と資金を発展途上国に移転して温室効果ガスの排出を削減するような先進的なプロジェクトを行い、その削減量に応じて自国の排出権にすることができるという、先進国と途上国が協力し温暖化対策を行うものです。これから多くの途上国でどんどん都市化が進んでいきます。イン フ ラ 整 備 等 を 行 っ て い く 上 で 、 最 もSustainableな都市をどのように構築していけばよいのか。地球規模のことを相手にしながら、まさに現実味をおびた研究に面白さを感じることができました。先生方や先輩たちから受け継がれてきたこの環境工学コース全体の仲のよさと協力体制は他に類を見ないくらいで、私も大変助けられました。感謝♪

東京大学 サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)特任助手平松 あい(第34期卒業生)

環境省入省5年目の杉本です。現在の所属は、環境管理局ダイオキシン対策室ということで、名前の通り、ダイオキシン類に関して、法律の施行の状況、環境の汚染状況の調査と新たな問題に向けた対策の検討などを行います。環境問題は従来の学問の細分化された一つのカテゴリーに収まらず、様々な分野が関与する学際的に対応すべき問題です。

現在コンサルティング事業部の環境・水資源部におり、国際開発コンサルタント業に従事しております。途上国の水道、下水道、廃棄物に関わる事業計画を立案、設計、実施する業務です。施設のみではなく、財務、組織、法制度なども含め総合的な改善策を計画します。写真は、トンガ水道公社の職員と撮ったものです。コースで学ぶことは、この業務に必要不可欠な知識またはその基礎となりますので、しっかり学んでください。

経済産業省系列の研究機関で研究員をしています。環境安全と化学物質の有効利用を両立させるためには、化学物質がもたらす利便性と危険性の大きさ(リスク)とを正しく評価することが必須となってきています。私たちは、さまざまな化学物質について排出量データ、毒性データなどからリスクを定量的に求める仕事をしています。都市工の学部時代の授業は「広く浅く」でした。ほとんど全ての環境問題がカバーされており、様々な視点での問題提起があった貴重なものだったと思います。

(独)産業技術総合研究所化学物質リスク管理研究センター

小野 恭子(第31期卒業生)

私は三菱重工業(株)横浜製作所にてプラント設計業務を行っています。私の所属する水システム設計課は社内で唯一水処理施設を専門に設計しており,学生時代の講義,演習,実験等で学んだ水環境に関する知識をフル活用しながら一人前のエンジニアになるべく経験を重ねているところです。現在はごみ焼却施設における排水処理設備を主に担当しています。

(株)三菱重工業阿部 英信(第35期卒業生)

環境省 杉本 留三(第32期卒業生)

(株)パシフィックコンサルタンツインターナショナル

荒木 敬幸(第32期卒業生)

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都市環境工学コースの特色は、環境に関する研究であれば、自分が興味のある題材を自由に取り上げることができ、その研究の中では、生物学、化学、農学、社会学、経済学に至るまで様々な分野から自分が必要な知見を集め、自分の理論、主張を構築していくところにあると感じました。私が都市工学科で学んだ考え方は、今日の仕事においても十分役立っており、まさに今後新たな環境問題に対応するための基礎となっていると思います。