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2018年度 ゼミ論文

ゲーミフィケーション

2017年11月17日

経営学科

MG4101

徐 雨晨

駒澤大学経営学部

目次

序論

本論  

1.ゲーミフィケーション4つの特徴

1.1 課題の明確化

1.2 現状の可視化

1.3 即時のフィードバック

1.4 達成報酬の魅力

2.モチベーション理論

2.1 マズローの欲求階層説

2.2 アルダファーのERGモデル

2.3 マクランドの達成動機説

2.4 ハーズバーグの二要因説

2.5 まとめ

3.12のゲームデザイン

4.実証実験

4.1 実証実験の状況

4.2 実証実験の結果

結論

序論

 経営管理という学問の中で、従業員の仕事の質を上がる方法を探求するのは永遠の課題である。経営管理とは、人に働きかけて、協働的な営みを発展させることによって、経営資源の転換効率や環境適応の能力と創造性を高めて、企業の目的を実現しようとする活動である。

個性的で具体的な人間が組織的な人間として振る舞い、組織の活力や創造性を高めるように働きかけようとする。こうして企業の協働的な営みは組織として展開され、個人の能力の総和以上の生産を実現するのである[1]。

従業員の生産性や仕事効率を高めるには、業務のプランを最適化することと、従業員のモチベーション向上は重要なことである。ゲーミフィケーションの研究は、多くの人々が熱中しているゲーム要素を取り込んで、従業員自発的なやりがいをデザインするとこで、モチベーション向上によって従業員の仕事の質と効率を上昇し、もっと大きなる成果をあげること実現すること研究である。

 ゲーミフィケーション(英: gamification)の基本な定義は、課題の解決や顧客ロイヤリティの向上に、ゲームデザインの技術やメカニズムを利用する活動全般。この言葉は「日常生活の様々な要素をゲームの形にする」という「ゲーム化」から派生し、2010年から使われはじめた[2]。

現代のテレビゲームは、1970年代発明されてから[3]、今まで市場規模はすごく大きくなり、日本国内だけでは2兆9800億円の市場があり、日本経済にとって重要な産業の1つになっています[4]。

その原因は、多くのプレイヤーがゲームの魔力に惚れて、自分の金と時間をゲームのために使うことである。研究者はプレイヤーたちがゲームに対するやる気を出す仕組みを他の領域に発揮することを研究し、この研究をゲーミフィケーションと呼ぶ。

そして近年からゲーミフィケーションを経営管理の分野に導入する研究がはじまり、ゲームの要素を経営管理の仕組みと比較し、その異同から着手してモチベーション向上の研究をしている。

 ゲームは熱中するぴプレイヤーがやりすぎて体調崩すことになったり、高額課金を支払うことになったり、ゲームばかりやって他のこと全部できなくなったりなどゲーム依存症により廃人化のマイナス面があるが、プラス面としていくつの効果もある。[5]

1.やるなと言われてもやる。

2.徹夜してでもやる。ついついやりたくなる。

3.楽しんで取り組める。単純に面白い。

4.自己効力感を得やすい。

5.自分のレベルアップ、成長を実感できる。

6.いつの間にか本当に上手になる。

 以上の効果によって、ゲーミフィケーションが経営管理に応用すると以下の効果が期待することができる[5]

1.仕事をやるなと言われてもやる。

2.早く帰るように言っても、徹夜してでもやる。「ついつい朝まで仕事しちゃいました」

3.「だって面白くて・・・ついつい」「時間を忘れて楽しく仕事できました」

4.仕事を通じて「やればできる」という自信がつき、自己効力感を得やすい。

5.仕事で、自分のレベルアップ、自己成長を実感できる。

6.楽しみながら取り組んでいたら、いつの間にか本当に上手になり能力アップにつながった。

 しかし、経営管理にゲーミフィケーション理論を導入する最終目的は決して仕事をおもしろくするではなく、仕事を面白くなる手段で仕事の生産性を上げることはゲーミフィケーション研究の最終目的である。

 

本論

1.ゲーミフィケーション4つの特徴

ゲーミフィケーションはどういうものかという問題は、まずゲームの実例で説明する。

例えば、日本人プレイヤーにとって一番馴染みのロールプレイングゲーム(RPG)はドラゴンクエストシリーズである。ドラゴンクエストシリーズは2014年の時点で、パッケージソフトの累計出荷本数は6400万本以上(27作品)に上り[6]、大人気なゲームシリーズである。

 このゲームのやり方が簡単に言うと、プレイヤーは勇者になって、ゲーム世界の国王のところに魔王を倒して、世界を救うというクエストを受ける。そして旅に出て、モンスターたちを倒し、経験値やお金を稼いで、レベルアップや町の武具屋に装備を買うことによって自分の戦力を強化する。最後は魔王を倒して、感動なエンディングに迎える。

 これはドラゴンクエスト第一作の流れである。今見るとシンプルすぎると感じるが、当時には大人気だった、販売数は150万本である[7]。大人気の原因はゲームの要素は少ないが、すでに人々がゲームの面白さを感じる4つの特徴が揃っているからである[8]。

1.目標、課題、アクションの明確化

2.現状、現在地、実力の見える化

3.即時のフィードバック

4.達成感および達成に対する報酬の魅力

実はテレビゲームだけではなく、囲碁、麻雀、スポーツなどもこの4つの要素を含む。

図1.面白さを感じるゲームの特徴[8]

1.1課題の明確化

すべきことを明確になることは作業の基本である。ゲームの中で、最初のストーリーでプレイヤーにこのゲームの世界に何があったのか、プレイヤー何をすべきかを決定する。例えばスーパーマリオというゲームの中で、姫様はドラゴンに囚われたので、救わなければいけない。そしてゲームが進む方は簡単である。図2のように、プレイヤーは前に進めばいい、ジャンプで罠を避けて、モンスターを踏み倒して前に進んで、ゴールにたどり着くことである。

図2.スーパーマリオゲーム画面[9]

 囲碁やスポーツも同じである。囲碁はとりあいず自分の駒で相手の駒を囲い込み、碁盤の多くのシェアを占めたら勝つことになる。スポーツの場合は、例えばバスケットボールはボールを相手のバスケットに投げて、ボールを入れる次数が多いチームは勝者である。

 以上の全ての例の共通点は、課題はシンプルである。単純な目標をつくて、この目標のために努力することは、プレイヤーが自分のやるべきことを受け入れ易くなる。仕事の場合にも、従業員に理解しやすい言い方で「こうすればいい」「この方法ですると目標が達成できる」と伝えると、従業員は今自分がやるべきことを明確し、迷わずに仕事を進むことができる。

 課題を明確化することによって、本来困難だと感じること簡単にすることができる。そして従業員のストレスを下がり、仕事の質や効率も高めることができる。

1.2現状の可視化

 自分は今どういう状態なのかがすぐにわかることは現状の可視化である。ゲームの中て、プレイヤーに自分の状態をすぐにわかるために、図3のように示す。

 これは「ドラゴンクエストV」というゲームの状態確認画面である。自分現在の地位、レベル、基本ステータス、積めた経験値、持っているお金、装備、スキル、そしてチームに居るメンバーたちの状況も全部はっきり見える。

図3.ドラクエ5ステータス欄[10]

 ゲームは現状の可視化ができる原因は自分のステータスは全部数字化しているからである。図3のように、ユニットは自分の耐久を表示する生命力(HP)や攻撃のダメージを決定するちからなどのステータスがある。下図に示した通り、戦闘のとき自分は敵にどういうぐらいのダメージをあげるのか、敵は自分にどのぐらいの耐久を削がせるのかも数字の形に示しるので、プレイヤーは戦闘の形勢を正確に把握することができる。

「孫子の兵法謀攻篇」に中に「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」という言葉がある。戦を行う場合には敵と自分の情報も知ることが重要なことである。古代の戦を真似して誕生した囲碁、将棋などのゲームは棋士が碁盤全体の状況は把握できるので、自分の実力をフルパワーに発揮することができる。現実の戦では大将が戦場の状況を把握することが難しいので、意想外のことが発生することにより自分の策が破れることは通常なことである。

図4.ドラクエ5戦闘画面[10]

 経営管理の場合には、従業員は自分の能力を正確に評価できると、自分のやれることがわかるようになる。自分のことを過小評価や過大評価しないによって、自信が上がり、業務の成功率も高めることができる。これによって、仕事に対するモチベーションも向上する。

1.3即時のフィードバック

 ゲームはリアルと一番違いのは「即時のフィードバック」があることである。現在、学生はゲームを夢中し、プライベート時間帯で、大部分の時間がゲームをして、予習や復習の時間が少なくなってしまう。そして調査統計により、約20%の大学生が毎日12時間以上ゲームをやる経験がり、毎日授業外二時間以上勉強する大学生の割合もほぼ同様である。

図5.一日の最長ゲーム時間[11]

図6.授業外勉強時間[12]

 学生たちは学習よりゲームが好きの原因の一つは、ゲームは学習よりフィードバックが早いことである。

 人は自分が努力したことが無駄にされるのは嫌である。学生が努力すべきことは勉強することである。学生は学習に通じてもらえる報酬は知識の増加、テストの高評価、そしてテストの高評価による家族へのご褒美、先生やクラスメイトへの称賛、各種な証書などである。

 しかし勉強のフィードバックが早くない。例えば、一日の勉強に通じて、自分はどのぐらいの知識が身に付かたのか、そしてテストの時何点もらえるかが全然わからない、自分の現状を知らない同時にフィードバックも反応しない。これによって、平日勉強をあまりしないで、テストの前に一夜漬けをするのは大学生の中で相当流行している。原因は皆も快速のフィードバックを求めているからである。

 ゲーム場合は、自分が努力したことは全部数字で表示している。本格ロールプレイングゲームには、プレイヤーの成長はレベルで反映する。レベルは十分の経験値を貯めることによってアップする。プレイヤーは戦闘などの手段で経験値を積んで、積んだ経験値は確実に反映する。例えば、プレイヤーは五匹のモンスターを倒して、経験値5点がもらえた。それにレベルアップには経験値10点が必要ので、後五匹のモンスターを倒せばレベルアップすることができる。プレイヤーはこういう情報を知ると、自分は今までの努力の成果を確認することができ、自分は後のやるべきことも明確する。これによって、やる気は出る。

1.4達成報酬の魅力

 魅力的な報酬についてはゲームと現実はほぼ同じである。

 ゲームの中で、プレイヤーは強い装備を買うためにお金を稼ぎ、ダンジョンの中で探検し、そして感動なエンディングを迎えるために魔王を倒す。強い力を持つ勇者になるなど現実でできない夢を叶えるためにゲームをやる人が多い。

 企業の場合は、従業員が基本な給料以外で、業務に成績が出すとボーナスがもらえる、それに社内の地位も上昇し、昇進することも可能になる。そして困難を乗り越えて、難易度の高い任務を完成すると、自分も感動を感じたり、自己実現した時の達成感を体験することができる。

 成果に基づいて相応しい報酬をくれるのは人のやる気を出せる基本なことである。

2.モチベーション理論

従来のモチベーション理論は内容論と過程論に分類される[13]。

内容論(コンテンツセオリー、content theory)は動機付けを高める要因とは何か、その内容や種類を研究する理論の総称である。

過程論(プロセスセオリー、process theory)は動機付けがどこから生まれるのか、どのような場合に動機付けが高まるかなど、そのプロセスについて論じる理論の総称である。

 本論文はゲームの要素でモチベーションを高めることを研究するので、同じ動機付けを高める要因を研究する内容論と比較し、従来の理論の元でゲーミフィケーションは従業員のモチベーションを高めることができることを証明する。

 代表的な内容論は4つである[14]。

1.マズローの欲求階層説

2.アルダファーのERGモデル

3.マクランドの達成動機説

4.ハーズバーグの二要因説

図7.代表的な内容論[15]

2.1マズローの欲求階層説

 人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていて、低階層の欲求が満たされると、より高次の階層の欲求を欲するとされる。

 第一階層の「生理的欲求」は、生きていくための基本的・本能的な欲求(食べたい、飲みたい、寝たいなど)。この欲求がある程度満たされると次の階層「安全欲求」を求めるようになる。

 第二階層の「安全欲求」には、危機を回避したい、安全・安心な暮らしがしたい(雨風をしのぐ家・健康など)という欲求が含まれる。

 この「安全欲求」が満たされると、次の階層である「社会的欲求(帰属欲求)」(集団に属したり、仲間が欲しくなったり)を求めるようにます。この欲求が満たされない時、人は孤独感や社会的不安を感じやすくなると言われる。

 ここまでの欲求は、外的に満たされたいという思いから出てくる欲求(低次の欲求)で、これ以降は内的な心を満たしたいという欲求(高次の欲求)に変わる。

 「社会的欲求」の次に芽生える欲求は、第四階層である「尊厳欲求(承認欲求)」(他者から認められたい、尊敬されたい)である。

 そしてその「尊厳欲求」が満たされると、最後に「自己実現欲求」(自分の能力を引き出し創造的活動がしたいなど)が生まれる[16]。

図8.5段階欲求のピラミッド

 現代社会の場合、特に日本アメリカのような先進国には、従業員の「生理的欲求」や「安全欲求」は一般的に満足されている。

 従業員は一番求めっているのは「社会的欲求」、そして次には「尊厳欲求(承認欲求)」や「自己実現欲求」である。つまり現代社会にとって欲求の五段階はピラミッド形ではなくで、菱形でも言える。

 この現状も人々がゲームに夢中する原因である。ゲームで「生理的欲求」と「安全欲求」を満足することが難しいので(ゲームをやって金を稼ぐプロ選手もいる)、多くの人はゲームをやる原因は上の三つの欲求である。仲間が欲しいからオンラインゲームをやって、自分が皆に承認されたいからゲームを練習し、上達になる。

 もし現状の可視化と即時のフィードバックで従業員の成長とコミュニケーションプロセスを改善し、従業員に仕事に通じて「社会的欲求」と「尊厳欲求」を満足すると、従業員は仕事に対する興味が増加し、モチベーションも高めることができる。

2.2アルダーファのERG理論

アルダーファは、マズローの欲求5段階説のその後の実証的研究を受けて、それを修正・整理して人間の欲求を3つに集約した。

1.生存欲求(E:existence):物質的・生理的な欲求をすべて含み、飢え、賃金、労働条件などすべてに対する欲求である。

2.関係欲求(R:relatedness):自分に重要な人々(家族・友人・上司・部下・敵など)との関係を良好に保ちたいという欲求である。

3.成長欲求(G:growth):自分の環境に創造的・生産的な影響を与えようとする欲求で、これが充足されれば、人間としての充実感が得られるとされる。

アルダーファのERG理論の特徴は次の通り。基本的には下位の欲求(生存欲求→関係欲求→成長欲求)から満たそうとするが、それが満たされなくても上位の欲求がでてくる。同時に存在しうる。

生存欲求と関係欲求はある程度満たされると重要度が下がり、より上位の欲求の重要度が上がる。ただし、最上位の欲求(成長欲求)は満たされてもその重要度は減少せず逆に増加する[17]。

図9.3つの欲求[17]

アルダーファのERG理論とマズローの欲求階層説の違いは上位の欲求が満たされないと下位の欲求に意識が向く。例えば職場を例にして考えると、仕事にやりがいや成長が感じられなくなる(成長欲求が満たされなくなる)と職場の人間関係(関係欲求)に意識が向くようになる。

職場の人間関係が悪くなる(関係欲求が満たされなくなる)と賃金や休暇など労働条件(生存欲求)に意識が向くようになるということである[17]。

2.3マクレランドの欲求理論[18]

人間の主要な動機ないし欲求は4つであり、それは「達成」「権力」「親和」「回避」だという理論である。これはアメリカの心理学者デイビッド・C・マクレランドが提唱することである。これらの4つの動機のどれがより強いかは人それぞれですが、行動の裏には必ずこれらのいずれかの動機があるという理論である。

達成動機(欲求):成功の報酬より自分自身があることを成し遂げたいという欲求から努力し、前回よりもうまく、効率的にやりたい、より良い成績を上げたいという願望を持つである。

達成動機が強い人は下記のような特徴があると言われる。

・個人的な進捗に最大の関心があるため、何事も自分の手でやることを望む。

・中程度のリスクを好む。

・自分が行ったことの結果について迅速なフィードバックを欲しがる。

権力動機(欲求):他者にインパクトを与え、影響力を行使してコントロールしたいという欲求である。

権力動機が強い人は下記のような特徴があると言われる。

・責任を与えられることを楽しむ。

・他者から働きかけられるよりも、他者をコントロール下におき影響力を行使しようとする。

・競争が激しく、地位や身分を重視する状況を好む。

・効率的な成果よりも信望を得たり、他者に影響力を行使することにこだわる。

親和動機(欲求):友好的かつ密接な対人関係を結びたいという欲求である。

強い親和動機をもつ人は下記のような特徴があると言われる。

・人の役に立とうと努力する。

・他者からよく見てもらいたい、好かれたいという願望が強い。

・心理的な緊張状況には一人では耐えられなくなる傾向がある。

回避動機(欲求):失敗や困難な状況を回避しようという欲求である。

強い回避動機をもつ人は下記のような特徴があると言われる。

・適切な目標をあえて避ける。

・周りに合わせようとする。

2.4ハーズバーグの動機づけ・衛生理論[19]

ハーズバーグの動機づけ・衛生理論はアメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグが提唱した仕事における満足と不満足を引き起こす要因に関する理論である。人間が仕事に満足感を感じる要因と不満足を感じる要因は全く別物であるとする考え方である。

 人間には2種類の欲求があり、苦痛を避けようとする動物的な欲求と、心理的に成長しようとする人間的欲求という別々の欲求があるとし、「ハーズバーグの動機づけ・衛生理論」はこの考え方を元にしている。

 苦痛を避けようとする動物的な欲求をいかに充足しても、人間は不満足感が減少するだけで積極的な満足感を増加させることはない。

 また、たとえ心理的に成長しようとする人間的欲求を十分に充たすことができなくても、不満足感が増加するわけではないと考えられている。

 つまり、仕事の満足感を引き起こす要因と不満を引き起こす要因は違い。不満要因(衛生要因)をいくら取り除いても、満足感を引き出すことにはつながらず、不満足感を減少させる効果しかなく、仕事の満足感を引き出すには「動機づけ要因」にアプローチしなくてはいけないということである。

図10.動機付け.衛生要因[19]

 上図は、「動機付け要因」と「衛生(不満足を招く)要因」についてグラフにしたものである。

不満足を招く要因(衛生要因)として最大項目は「会社の方針と管理」で35%以上の不満足を招きます。しかしこの要因による動機付けは5%程度にしかなりません。つまり、この要因をいくら満たしても「不満足の解消」にはなるものの「積極的な動機」を引き出すにはいたらない。

また、「動機付け要因」として最大項目は「達成」で40%程度の動機付け要因となります。しかしこれが充たされなくても「衛生(不満足を招く)要因」としては10%程度なのでそれほど大きな不満足を引き出す要因にはならない[19]。

2.5まとめ

 4つのモチベーション理論をまとめると、従業員のモチベーションを向上する要素は、関係欲求、承認欲求、成長欲求である。ゲーミフィケーションはこの3つの欲求を満足することはできる。

3.12のゲームデザイン

1.何をすべきかが、明確になっている

2.自分が今どういう状態なのかが、すぐにわかる

3.アクションに対して、すぐに反応がある

4.ゴールしたり達成すると、感動できたり、ごほうびをもらえる

 以上はゲーミフィケーションの4条件である。現在の企業では、一般的にゲーミフィケーションの1番と4番の条件が満足している。

「何をすべきかが、明確になっている」

 従業員は朝出社から自分は今日何をすべきかがわからない場合は少ない、企業は事業の計画や上司への指示もあるので、課題の明確化はすでに満足している。

「ゴールしたり達成すると、感動できたり、ごほうびをもらえる」

 企業は従業員に基本的な給料を支払い、そして成果を元にボーナスを与えるので、事業達成の報酬としてもう十分である。

満足していない条件は2番と3番である。

「自分が今どういう状態なのかが、すぐにわかる」

 多くの場合には、企業は会社全体の売上や利益推移の統計をするので。従業員個人の貢献度などの状況や自分は以前と比べて進歩したのかは不明確である。

「アクションに対して、すぐに反応がある」

 多くの会社は、従業員のやることに対するフィードバックは即時の程度ではない。人事考課は一般的に一年度一回か二回しかない、給料のボーナス反映は一ヶ月一回の程度しかない。

 2と3の条件を満足し、そして1と4の条件を強化するには12のゲームデザインが必要である[20]。

1.共感できるストーリーを用意する。

2.レベル(級、段、ステージ)を設定して、向上心を刺激する。

3.「バッジ(標章)効果」でプライドをくすぐる。

4.「コレクション効果」を活用し、途中でやめにくくする。

5.「ソーシャル共有」による他人との交流の楽しさを狙う。

6.自発的に参加していることを意識させる。

7.自分好きみにカスタマイズできる部分を残しておく。

8.クエスト(課題、ミッション)への取り組みを習慣化する

9.リアルな能力向上につながる「学習クエスト」を盛り込む。

10.負けるほうが逆転できる可能性を残す。

11.予期しないサプライズ報酬を用意しておく。

12.ビジュアルデザインに気を配る。

1.共感できるストーリーを用意する

 自分のやることを崇高なビジョンを定義することである。ゲームの中で世界を救うようなストーリーのように、真善美を感じることが出来るストーリーを作り、これを達成するために頑張る。

例えば、図11の富士山ビジョン、富士山の高さを自分に偉い感じをして、世界一の目標を作る。

図11.富士山ビジョン[21]

2.レベル(級、段、ステージ)を設定して、向上心を刺激する

簿記や言語検定のように、レベルを設定して、自分のレベルや能力を数字の形で示す。これにより自分の成長を確認する上に、自分の未熟の部分を意識し、高いレベルに努力する向上心を刺激することができる。

3.「バッジ(標章)効果」でプライドをくすぐる

 レベルを設定することだけてまだ不十分である。人は自分の成長を自分で確認できる上に、他の人にも見せたいである。自分の虚栄心(承認欲求)を満足するのもモチベーション向上に有利である。

 例えば、柔道の黒帯のような資格や軍服に付いている星のような、自分のレベルを他人に見せられる形にすることである[22]。

4.「コレクション効果」を活用し、途中でやめにくくする

 今カードゲームはすごく人気なのは「コレクション効果」の原因である。カードを集めるならば全部コレクションしないと意味はないと人々は常にこう考える。

 「コレクション効果」を活用すると、人に今まで努力したことを無駄にしたくない、もう後少し頑張ろうという気持ちにする。これによって人を中途半端でやめにくくすることができる。

5.「ソーシャル共有」による他人との交流の楽しさを狙う

 自分に成長を見える化、そして見せる化によって、他の人と交流し、お互いに関係欲求と承認欲求を満足することである。

 そして競争を促進し、従業員お互いに他人より上手くなりたいという気持ちを引き出して、能力向上に有利である。

6.自発的に参加していることを意識させる

 他人に誘って、半ば強制的にゲームを付き合うによって、自分も面白く感じて、そしてその後自発的に参加にたくなることである。

 まず参加したくないという選択を禁止し、無理やりにやると、「やるしかない」「やればできる」という自信を引き出して、最終自分が自発的参加したいという意識を培うことである[22]。こうした内発的動機付けでモチベーションを向上する。

7.自分好きみにカスタマイズできる部分を残しておく

 業務の進め方をどこまでも制限しないて、従業員を自分のやり方で業務を完成されることである。例えば、RPGゲームの中でプレイヤーは戦士や魔法使いなど様々な職業を選択でも、同じく魔王が倒せるということである。

 これによって従業員は自分の強みを良く発揮し、業務を取り組むことができる。これに通じて従業員の自己決定で動き、自律と自発の状態を続くことができる。

8.クエスト(課題、ミッション)への取り組みを習慣化する

 オンラインゲームの日常クエストのような、短期ミッションの設置して、ミッションの参加や作業を習慣化することである。これに通じて、だんだん毎日こういうことをするのは当たり前のことだとなっていて、やらないと逆に変だという心理を培う。

 効果としては、本来できる作業は、手順を忘れたり、ミスをしたりなどリスクを排除することができ、仕事も効率が上がる。

9.リアルな能力向上につながる「学習クエスト」を盛り込む

 課題を完成することによって、「やればできる」という自信をつくるのは重要である。課題の中でスキルアップできる要素を加えるによって実な能力向上ができるようになる。

10.負けるほうが逆転できる可能性を残す

 ゲームの中でもし勝敗が早いうちに決めたら、プレイヤーは最後まで続ける気がなくなってしまう。これは現実でも同じである。従業員のモチベーションを維持するために逆転できる可能性を残すことが必要である。

 例えば、一年度の営業業務の成績を試合する場合、先に低いポイントをもらったチームを諦めたくないために、最終の2が月でポイント2倍にして、この2が月にもっと頑張れば、逆転できかもしれないという可能性をがげて、最後までやる気を維持することができる[22]。

11.予期しないサプライズ報酬を用意しておく

 作業と報酬は限られたルールで結びつくと、反復なアクションになって、業務は熟練にしたら、簡単なルードでやるだけで、挑戦をしたり、革新な発想をしたりすることがしたくなくなる。

 ゲームの中で、たまにレアな挑戦を完成すると、予期しないサプライズ報酬がもらえる。このように、仕事の中で特殊な作業を完成すれば、意外な報酬を用意するによって、疲労しにくくなり、いつでもサプライズを期待しているようにモチベーションが上がる。

12.ビジュアルデザインに気を配る

 良いビジュアルデザインによって業務をわかりやすさ、使いやすさ、面白さをアップすることである。

4.実証実験

農園ゲームの例

 NTTデータが開発したBPOオペレーター支援プロトタイプシステムをNTTデータ・スマートソーシングに提供し、オペレーター間のノウハウ共有技術、ゲーミフィケーションによる業務の見える化技術を適用した。本実証実験を通じて、生産性・正確性・センターマネージメントの向上と、オペレーター育成期間の短縮等の検証を行った。

 現在検証中のシステムは、NTTデータが独自に開発したWebブラウザーベースの電子マニュアルビューワーに、オペレーターの行動をサポートする以下の機能によって、オペレーターを支援している。

 業務量、業務特性、作業成果、ノウハウ貢献等の定量的な情報をビジュアル化する事によって、オペレーターがビジネス状況や仲間の作業状況把握が容易になる。

 具体的には、ベテランオペレーターの育成過程オペレーターへの貢献意欲向上や、業務状況が公開されていることによって育成過程オペレーターが公正な評価をされているという納得感を醸成することができる。その結果、仲間意識、仕事の楽しさ、達成感の向上によって、モチベーションの低下を防ぐ。

 今後は、作業シーンに対応した業務支援情報の自動提示やオペレーターの能力に応じたトレーニングメニューの自動提供といったさらなるオペレーション支援の高度化に関する研究を進めていく[23]。

4.1実証実験の状況

 作業はチーム制で行われ、1チームが8名ほどの体制となっている。従業員は、社員からの依頼に基づいて毎日一人あたり何十件もの作業をこなしており、作業1件1件の品質は高いものが求められていた。

更に、作業の品質を重視すればするほど1件を処理する作業のスピードが遅くなってしまうため、社員に対する納期が延びてしまうという現実があった。作業の中に特定の決まったパターンにあてはまりにくい依頼内容もあり、特に新しく配属された従業員にとっては知識やスキルという面で不足することが度々発生するため、先輩従業員のサポートを受ける必要があった[24]。

これで、コミュニケーション、現状対応のスピード、締め切りが守られるかどうか、色な問題を抱える。

 こういう状況に対して、農園ゲームを導入した。

図12.農園ゲームの画面[23]

 農園ゲームは良いビジュアルデザインがあり、業務の進捗状況は野菜の苗によって表示し、現状も可視化にした。業務の進捗状況や達成状況を分かりやすく見える。

 作業を進めると、苗は共に成長し、即時のフィードバックで作業の進捗状況を反映する。全ての苗を成長させるによって、コレクション効果もする。

 画像の下の部分は従業員個人の達成状況を反映し、それにランキングも設置して、従業員は自分の成績を自分で確認できる上で、他人に見せることもできるので、従業員たちの承認欲求を満足した。そしてグルップ内の競争を促進し、従業員たちの競争心を使って作業の効率を高める。

 画像の下の部分の右側は従業員のナレッジ活用への貢献である。先輩社員は新社員とコミュニケーションをして、新社員に技術を教えることによって他の社員に「いいね」のいい評価はもらえて、関係欲求を満足することができる。

4.2実証実験の結果

 「ゲーミフィケーション」については、オペレーターが業務結果に応じて獲得ポイントが見える化されることにより自己の組織貢献が実感できるといった「オペレーターの業務に対するモチベーション向上」や、ゲーム画面をきっかけとしたオペレーターに対する声掛け増加など「ゲームをきっかけとした職場コミュニケーションの活性化」、さらにはそれらが「マニュアルベース・ナレッジ管理」で定着したナレッジ活用を促進する効果も確認されている。

図13.農園ゲームの結果[23]

実験の効果について4つのメリットがある。

1.納期遵守

 2.作業ミスの低減

 3.作業車のスキルアップ

 4.コミュニケーションの活性化

 柔らかいコンテンツの可視化によって遅れに早く気づく、会話のきっかけ助け合う雰囲気になる効果があり、業務の効率化と連帯感の釀成ができた。

 ポイントランキングの表示は負けたくない競争心を引き出して、作物を育てるの楽しさと加えてモチベーション向上の効果ができた。

結論

 農園ゲームの例によって、ゲーミフィケーションで従業員のモチベーションを向上し、仕事の生産性を上げることに効果があることを証明した。

 ゲーミフィケーションの導入によって従業員の関係欲求や承認欲求を満足することができる。そして、従業員の成長やスキルアップによってモチベーションを高めることができる。

 現状の可視化は従業員の状態がいつでも確認できるにより、自分の強みと弱み、業務の現状も分かる。これによって作業のミスを低減し、仕事の効率や質を向上する。

 即時のフィードバックは従業員の成長欲望を促進する。そして従業員のスキルアップでモチベーションが上がる。

 ソーシャル機能は従業員のコミュニケーションを活化することができる。そして、従業員の競争心を発揮し、お互いに動機付けを促進し、やる気を引き出す。

 ゲーミフィケーションは新しい言葉であるが、昔からこの理論を応用していた企業がある。そして現在、より多くの企業はゲーミフィケーションの理論を経営管理に利用されている。ゲーミフィケーションを活用し、可視化経営によって従業員のモチベーション向上によって、企業により多く利益を得ることができる。

 

本研究を行うに当たり、ご指導を頂いた西村教授に感謝します。 また、日常、有益な議論をして頂いたセミナーの皆様に感謝します。

参考文献

1. 塩次喜代明・高橋伸夫・小林敏男,「経営管理」, 有斐閣アルマ,1999

2. ゲーミフィケーション, Wikipedia, 閲覧日:2017-10-14

3.テレビゲーム, Wikipedia, 閲覧日:2017-10-14

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