第42号hosei-archi-ob.sakura.ne.jp/bulletin/bn/2006...2 法匠会報 42号 2006.7.20 第19回...

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1 法政大学 工学部 建築学科 同窓会会報 第 42 号 発行所 〒 184-8584  東京都小金井市梶野町 3-7-2 振替口座 1-89264 TEL・FAX(042)387 6385 法政大学工学部建築学科同窓会 発行人 永田八朗 編集人 会報編集委員会 2006 年 7 月 20 日 同窓会の活動は逐次、ホームページで 紹介しております。 全国各地から、皆さまの身近な情報を お寄せ下さい。 http://www.ne.jp/asahi/hosei/archi.ob/ ホームページ管理人からのお願い 平成 18 年度第 1 回理事会報告 開催日:平成 18 年 4 月 13 日(木曜日)午 後 6 時 30 分 場所:法政大学市ヶ谷・ボアソナードタワ ー 19 階会議室 (D) 参加者:出席者・23 名 + 委任状・23 名 議題としては、平成 17 年度事業報告、 活動報告、収支決算報告、監査報告ののち、 平成18年度事業計画、予算(案)、常任理事・ 理事の選任が承認され、さらに、教室から の報告、新入生歓迎ウォークラリー、法匠 展 50、会報 42 号、女性ネットワーク、法 匠セミナー、大江宏賞、新卒生の会費納入 状況等が報告され、活発に議論されました。 法匠会報 42 号 2006.7.20 盛夏の候、会員の皆様におかれまして は、ご健勝でご活躍のこととお慶び申し上 げます。 先日、「ドイツでジャンボ鯉のぼりを揚 げよう」に、川口衞先生と佐藤良一さんと 三人で参加してきました。 既に、TV・新聞などで報道されご存知 のことと思いますが、カイザースラウテル ン市は世界ワールドサッカー・ドイツ大会 で日本チームが 6 月 12 日にオーストラリ アとの初戦会場の市です、大空に高々と揚 がったジャンボ鯉のぼりを見に集まった市 民の皆さんは、その雄大な遊泳ぶりに興奮 の歓声をあげ、お子さんも手に鯉のぼりを 持ち「コイノボリ、コイノボリ」と楽しそ うに走り回っていました、日独親善の企画 ジャンボ鯉のぼり のように 雄飛 しよう 永田八朗 (1968 年卒 16 回) も大成功、無事終演 いたしました。 これで、サッカー 日本チームはカイザ ースラウテルンでの 試合は「ホーム」戦になり、大声援を受け 勝利すると期待しておりましたが、残念な がら逆転負けとなってしまいました。 ドイツの大空で、二日間四回にわたり勇 壮に遊泳したジャンボ鯉のぼりも、大役を 果たし芝生の上に横たわり、観衆の喝采を 受けた時の安堵と満足そうな姿を見た時の 感動は今も目に焼きついています。 この企画を発案し、実行責任者を務めま した、赤松邦彦先輩(1965 年卒)大変ご 苦労さまでした。 デザイン工学部に参加が予定されている のは、建築学科のほか、都市環境デザイン 工学科(元土木工学科)とシステムデザイ ン学科の 3 学科である。いずれも工学をベ ースとしながらも、デザインを共通の追求 課題としている学科だ。法政大学でデザイ ンをキーワードとして、新学部を立ち上げ るのは画期的なことである。 21 世紀にふさわしい、人間と自然にと ってのデザイン、そして科学技術に立脚し たモノづくりの考え方が追求される。また、 「工学と美学の融合・美工学」を共通のス ローガンとしてかかげている。 各学科とも、デザインスタジオやフィー ルドワークなど実践的教育を重視してゆく のも共通の目標となる。 建築学科 大変身 市ケ谷 デザイン 工学部発足 大学全入時代を前に、各大学で教学改革が急速 に進行しているが、法政大学でも工学部から建築 学科ほか 2 学科が、デザイン工学部として独立し、 小金井から市ケ谷に移転する構想が浮上してきた。 来年 2007 年には開設 (申請中) 、新入生から市ケ 谷での授業を始める方向で検討中。建築学科自体 もデザインスタジオ制など大胆な改革が進行中だ。 建築学科創設 60 年目の大改革になりそうだ。 エコ地域デザイン研究所主催の国際シンポジウムが7月 15 日法政大学市ヶ谷キャンパスにて開催された。テーマは、「アジアの都市再生 III-蘇州・上海」。 届出申請中 42 06 7 4:28: 8

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Page 1: 第42号hosei-archi-ob.sakura.ne.jp/bulletin/bn/2006...2 法匠会報 42号 2006.7.20 第19回 法匠セミナー 恒例の法匠セミナーを下記の日程で行 ないます。ふるってご参加下さい。日時:2006年10月28日(土)1時

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法政大学 工学部 建築学科 同窓会会報

第42号発行所 〒 184-8584  東京都小金井市梶野町 3-7-2 振替口座 1-89264 TEL・FAX(042)387̶ 6385 法政大学工学部建築学科同窓会発行人 永田八朗編集人 会報編集委員会

2006年 7月20日

同窓会の活動は逐次、ホームページで紹介しております。全国各地から、皆さまの身近な情報をお寄せ下さい。http://www.ne.jp/asahi/hosei/archi.ob/

ホームページ管理人からのお願い

平成18年度第1回理事会報告開催日:平成 18 年 4 月 13 日(木曜日)午

後 6 時 30 分場所:法政大学市ヶ谷・ボアソナードタワ

ー 19 階会議室 (D)参加者:出席者・23 名 + 委任状・23 名

議題としては、平成 17 年度事業報告、活動報告、収支決算報告、監査報告ののち、平成18年度事業計画、予算 (案 )、常任理事・理事の選任が承認され、さらに、教室からの報告、新入生歓迎ウォークラリー、法匠展 50、会報 42 号、女性ネットワーク、法匠セミナー、大江宏賞、新卒生の会費納入状況等が報告され、活発に議論されました。

法匠会報 42号 2006.7.20

盛夏の候、 会員の皆様におかれましては、ご健勝でご活躍のこととお慶び申し上げます。

先日、「ドイツでジャンボ鯉のぼりを揚げよう」に、川口衞先生と佐藤良一さんと三人で参加してきました。

既に、TV・新聞などで報道されご存知のことと思いますが、カイザースラウテルン市は世界ワールドサッカー・ドイツ大会で日本チームが 6 月 12 日にオーストラリアとの初戦会場の市です、大空に高々と揚がったジャンボ鯉のぼりを見に集まった市民の皆さんは、その雄大な遊泳ぶりに興奮の歓声をあげ、お子さんも手に鯉のぼりを持ち「コイノボリ、コイノボリ」と楽しそうに走り回っていました、日独親善の企画

ジャンボ鯉のぼりのように雄飛しよう!永田八朗(1968 年卒 16 回)

も大成功、無事終演いたしました。

これで、サッカー日本チームはカイザースラウテルンでの試合は「ホーム」戦になり、大声援を受け勝利すると期待しておりましたが、残念ながら逆転負けとなってしまいました。

ドイツの大空で、二日間四回にわたり勇壮に遊泳したジャンボ鯉のぼりも、大役を果たし芝生の上に横たわり、観衆の喝采を受けた時の安堵と満足そうな姿を見た時の感動は今も目に焼きついています。

この企画を発案し、実行責任者を務めました、赤松邦彦先輩(1965 年卒)大変ご苦労さまでした。

デザイン工学部に参加が予定されているのは、建築学科のほか、都市環境デザイン工学科(元土木工学科)とシステムデザイン学科の 3 学科である。いずれも工学をベースとしながらも、デザインを共通の追求課題としている学科だ。法政大学でデザインをキーワードとして、新学部を立ち上げるのは画期的なことである。

21 世紀にふさわしい、人間と自然にとってのデザイン、そして科学技術に立脚したモノづくりの考え方が追求される。また、

「工学と美学の融合・美工学」を共通のスローガンとしてかかげている。

各学科とも、デザインスタジオやフィールドワークなど実践的教育を重視してゆくのも共通の目標となる。

建築学科が大変身 市ケ谷にデザイン工学部が発足!大学全入時代を前に、各大学で教学改革が急速に進行しているが、法政大学でも工学部から建築学科ほか2学科が、デザイン工学部として独立し、小金井から市ケ谷に移転する構想が浮上してきた。

来年 2007 年には開設(申請中)、新入生から市ケ谷での授業を始める方向で検討中。建築学科自体もデザインスタジオ制など大胆な改革が進行中だ。建築学科創設60年目の大改革になりそうだ。

エコ地域デザイン研究所主催の国際シンポジウムが7月15日法政大学市ヶ谷キャンパスにて開催された。テーマは、「アジアの都市再生 III- 蘇州・上海」。

届出申請中

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Page 2: 第42号hosei-archi-ob.sakura.ne.jp/bulletin/bn/2006...2 法匠会報 42号 2006.7.20 第19回 法匠セミナー 恒例の法匠セミナーを下記の日程で行 ないます。ふるってご参加下さい。日時:2006年10月28日(土)1時

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第19回 法匠セミナー恒例の法匠セミナーを下記の日程で行ないます。ふるってご参加下さい。日時:2006 年 10 月 28 日(土)1時場所:小金井校舎マルチメディアホール講師1:猪野 忍「法政大学学生会館の誕生と死」学生運動の荒れ狂うなか、河原一郎先生とともに取り組んだ理想の学生会館の理念と関係者からの高い評価、そして無慚な最後を語る。講師2:後藤剛史教授「特殊環境との取り組み」ご自分の最新の研究テーマを中心に話しをされます。

追悼 : 飯田善国先生自由に生きる見本と勇気を与えてくれた…

のどかな小金井キャンパスに刺激がほしくなった 3年の春、真面目な建築学科に、彫刻家 ( 芸術家 !! である) がやって来る !!。学生一同新しい風が吹きそう…な予

感と期待とで胸いっぱい迎えた先生は、授業を始めるや、いきなり模造紙を破り始め、紐を張り巡らしながら、「空間とは何ぞや?」と、とても哲学的 (!?) なことを、あの独特な低い声と、動く眉で淡々と語り始

上海雑記私は現在上海に在住して

おります。中国人の友人と内装の設計・施工会社を立ち上げ 5 年になります。

当初は黒の vw サンタナばかりだった車が、( 車は日本よりも高価格かつ上海では車量の規制のためナンバープレート収得が入札制度になっておりナンバーの値段だけでも 45 万日本円 ! と言うにも関わらず ) 様々なメーカー、車種、色が入り乱れ、日系企業の進出も続き、日本人学校の生徒数は 2 千人を超えました。多くの高層ビルの建設も続いています。そんな状況の中、建設現場では日本との違いに戸惑いの連続です。

1. 日本で言うところの一般図程度の図面とパースで施工。詳細図・施工図を提示すれば逆に描き過ぎで読めない造れないと注意される始末。

2. 養生、清掃の観念がない ? 取付けてしまったらクリーニング不可能もおかまいなし。

3. 地方出身の職人、妻子と共に現場で生活。

4. 竹足場は今では低層の外壁補修程度の工事しか組まれませんがなぜかスチール単管足場も竹の様に塗装され一見竹足場。

5. 左官、塗装などの手作業は日本よりも丁寧で仕上がりも良いことが多い。

など、上げ出したら切りがありません。

       ●● 飯田善國先生の訃報も上海で聞きまし

た。飯田ゼミ 1 期生である私は大学の講議、

ゼミ、また幾度かの御自宅での飲み会で先生との時間を持つ機会に恵まれました。先生はいつもやさしい眼差しでありました。いくつかのブログや追悼文を読み、そのやさしい眼差しが変わっていなかったことを知りました。

先生の彫刻は、その表層の鏡面に取り巻くすべての事象 = 時を景を光を風を、写し反射し、舞い、先生の代わりに他者なるものと交流し続け、今ここに存在します。

御冥福を。山口 誠(87年卒)

めました。その瞬間私は飯田マジックにかかってしまいました。空間を時間でとらえ、精神でとらえ、時には哲学的に、芸術的に、詩的に、とあらゆる角度から、未熟な私達にもわかるよう、紐解いて語る話に、私の目からは鱗が何枚も落とされました。

彗星のように現れ、建築一色だった授業に新しい色を添え、去っていかれた先生は、私たち法政の

きら星の一つでもありました。 ステンレスが躍動的に動く彫刻、写真とオイルを用いたミクストメディアの絵。最後はロスにシンボリックな大きな彫刻を計画されていたと聞いています。

常にそして、82 歳の最後まで創作されていた先生の生き方は真に自由であり、その生き方自体が芸術的で、私たちに自由に生きることの良い見本と勇気を残してくださいました。人には優しく創作には厳しかった先生、どうぞ安らからに…いやあの世で先生の大好きだったマリリン・モンローと会っていることを祈って…。( 合掌 )佐々木 (横山 ) 理津子 (86年卒 88年院卒 )

山形通信

わざわざ草を植えなくても…

30 年前に改装した蔵をもう少し何とかして子供部屋にしたいというので、プリント合板をはがし、ビニールクロスとラワンベニヤを剥ぎ、漆喰を塗ることにした。ついでに外装も昔作り損ねたらしい下見板張りを作ってみる。

街づくり活動では、堰について皆と考え、石積みがいい、梅花藻(ばいかも)が枯れないように水を止めないでほしい、その活動のシンボルとして水車があるといいね、とワイワイやっている。

もともと多くの水車が市内の堰には設置されていて粉を挽いていた。蔵も堰も、結局昔の形に戻しているだけのこと。

同じことがさらに。老舗料亭の改修を依頼されたので、いろいろ打合せをしたら、古い建物だけを残すことになった。空いた敷地は駐車場に。駐車場に白線を引きたくなかったのでラインの替わりにコンクリートに穴をあけた。私のやったことは、結局穴に草を植えたことだけのような気がする。「わざわざ植えなくても草は生えてくるのに」と皆に言われたのは、そのあとのことだった…。福島茂良(81年卒)

白線の替わりに穴をあけた駐車場

金沢良春さん(1972年卒)が「JIA ミニトーク2006」の講師として、7月12日東京渋谷の JIA1階ホールで「建築家の実測について」と題し、西澤文隆さんの下で行った実測とその後の課題を中心に語った。実測図集「日本の建築と庭」については6頁を参照。

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3法匠会報 42号 2006.7.20

使い再入力することで、審査を効率化しようとしています。コンピュータは単なる道具という考え方をしていないようです。この制度では、コンピュータでスムーズに通る建物がこれからは多くなる危険性を持っています。物づくり立国とするなら、一元化、マニュアル化は避けて欲しいと思います。

安全性確保のために JSCAが目指しているのはどんな体制ですか。

山辺̶構造設計者の倫理問題や行動規範の問題だと思います。分譲マンションのような建主と買主が別の場合は、ピアチェックによれば良いが、建築主と設計者に信頼関係がある場合は今までと同じでよいとし、建築主が質を求める場合にピアレビューとなることが望ましいと考えています。

この問題まだまだ大変そうですね。

山辺̶「耐震レビュー」も続きそうだし、基準法・士法改正が明確になるまで、当分の間混乱が続きそうです。

ところで、山辺さんの事務所では、最近どんな仕事をしているんですか?

山辺̶アトリエ系の建築家と基本計画から現場監理まで一貫して創った最近の建物として「SHIOZUMI RESIDENCE」「カリタス女子中学高等学校」「正田醤油本社屋」などがあります。

したがって、当協会もチェックリストを作成し、構造設計者の同伴を求め、構造レビュー形式でチェックを行いました。まだ、続行中ですが、数は今まで 300 件くらいでしょうか。( 全国では 2000 件 )。

「構造レヴュー」をやってみて何がわかったのですか。

山辺̶「構造レビュー」で多くの設計者に面接しましたが、施工会社から一括下請している設計者やマンションのようにコスト競争の激しい建物を専門に受ける事務所など、様々な形態で構造設計が行われていることを知りました。私は普段、アトリエ派の建築家と仕事をすることが多いので、建築家との信頼関係の上にたっていい建物を創ろうと、基本計画から監理まで一貫して見ています。ところが、その人達は構造をやっているといっても、構造計画や監理という大切な部分をしないで、下請けで構造計算のみか、コンピュータのオペレーション作業のみを請けている人も多いことが分かってきました。構造設計と言っても、この場合は、部分的な「作業」をしているにすぎず、「地震」とは、ということを考える必要はないと思います。また、地震力を半分に落す行為も同様のことが言えます。コンピュータという単なる道具に振り廻されている結果だと思います。

今後の問題として、何が重要ですか。

山辺̶建築基準法と建築士法の改正を建物の安全性確保の側面から、国土交通省が整備しようとしています。確認検査機関に対する監督の強化、設計者に対する罰則の強化などが進んでいますが、過剰反応と過剰規制に陥ることなく、物づくりが窮屈にならないことを願っています。

構造家としては、何が問題ですか。

山辺̶国交省は第三者機関として、構造計算適合判定機関を新設しようとしています。一定高さ以上等の建物は、そこで専門家による審査 ( ピアチェック ) を義務付ける。ただし、大臣認定プログラムを

耐震偽装問題が発覚して、半年ほどたちます。この間、山辺さんは JSCA(ジャスカ:日本建築構造技術者協会)の東京代表として、問題解決に取り組んでこられたようですが、どんな印象をもっていますか。

山辺̶姉歯事件が起きてから、しばらくマスコミの人たちからは、このような偽装は、

「氷山の一角でしょ」という決めつけた発言が続きました。驚いて「いや、そんなことはないですよ。みんな真面目にやっていますよ」と答えていたんです。ところが、テレビで姉歯設計士のインタビューを聞いて「震度 5 で潰れるかもしれません」と無表情に答えているのを見て、この人は、構造設計者としてのにおい

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がしないなあ、と思ったのです。第一印象は、そんな感じでした。

ところで、JSCAはこの問題にどんな取り組みをしたのですか。

山辺̶この問題が起こってから、JSCA 事務局の電話が鳴りっぱなしの状態になりました。国交省が相談窓口として紹介したこと、唯一の構造設計者の団体ということで、相談が持ち込まれたのです。はじめは無料相談で設計図書を見て、基準法に基づき耐震設計が適切に処理されているかのチェックでした。東京地域で 200 件くらい見ました。その内、管理会社や不動産業者からイーホームズと ERI の確認物件が、小~大規模計画まで、かつ大量に分譲マンションが持ち込まれ、また行政の確認物件も持ち込まれました。これらの物件については、JSCA に第三者性を求め、適切に処理されているという書類発行を求められました。

姉歯による耐震偽装が発覚して以来、建築家の信用は失墜し、集合住宅に対する不安が広がっている。責任を取るべきべき建築家は不在のまま、構造家のみ責任を問われ、法規の改正作業

が進んでいる。問題はどこにあるのか、渦中の JSCA 東京代表:山辺さんに聞いた。「大工塾」など木構造の革新と普及など精力的に取り組むかたわら国交省の法整備に注文をつける理由は?

耐震偽装、ここが問題だ【インタヴュー】山辺豊彦さん(1969年卒業・青木ゼミ・現在:山辺構造設計事務所主宰・JSCA東京代表)

カリタス女子中学高等学校(近藤道男建築設計室)

正田醤油本社屋(マヌファット)

建築学科主催「市民のための安全講座」「マンションの耐震と安全を考える」が12月18日ボアソナードタワー26階スカイホールで開かれた。講師は大江新、坪井善隆、佐々木睦朗、吉田長行、司会:出口清孝の各教授が勤め、詰めかけた一般市民の質問に答えた。耐震偽装問題に対し、専門家として対処したもの。

SHIOZUMI RESIDENCE(鈴木エドワード建築設計事務所)

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Page 4: 第42号hosei-archi-ob.sakura.ne.jp/bulletin/bn/2006...2 法匠会報 42号 2006.7.20 第19回 法匠セミナー 恒例の法匠セミナーを下記の日程で行 ないます。ふるってご参加下さい。日時:2006年10月28日(土)1時

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東京コース(明治生命館)表参道コース(hhstyle.com)

第18回法匠セミナー恒例の「法匠セミナー」が平成 2005 年

10 月 22 日(土)法政大学小金井校舎・マルチメディアホールにて開催されました。

今回は構造の坪井善隆教授と法大 OB(‘66 卒)で日本設計を退職後、長崎県大島町を拠点にして、街づくりの活動に奔走している佐保肇さんの講演となりました。

佐保さんの講演は「魅力的な都市環境を求めて」と題し、日本の建築デザインは世界的水準にあるが、日本の都市は美しくない。これは「建築が都市環境と共生していない」ことの表れである。魅力的な都市環境をつくるためには建築家が都市環境との共生を共通の命題として実践することが重要と力説した。

坪井先生は「パソコンを用いた最近の構造力学の教育」「うっかり間違える構造力学」と題し、ノートパソコンの性能向上により、飛躍的に利用が進んでいるが、間違いもありうると実例を示しながら警鐘をならした。

新年会第 18 回建築同窓会新年会は 2006 年 1 月

25 日 ( 水 ) 市ヶ谷校舎ボアソナード・タワー 26 階「 ラウンジ」で行われました。

当日は、現役の先生のほか、退職された先生方と、約 60 名の OB が参集し、親睦を深めました。なつかしい再会の場面も少なくなく、楽しいひとときとなりました。当日、法匠セミナーの記録 DVD を講演された坪井先生にお渡しすることもできました。DVD は当日、希望者に頒布し、好評を博しました。

2006 年の第 15 回ウォークラリーは 5 月27(土)東京、上野、代官山、表参道の 4コースに、新入生 130 人と 2・3 年生 32 名、院生 17 名、OB 30 名で行われました。

原則として 1 人の卒業生が 3 人の新入生と 1 人の 2・3 年生を引率して半日歩きました。雨が降ったり止んだりというあいにくの天気でしたが、若者との会話を楽しみながら新旧の建築を見学しました。

6 時には全員市ケ谷の法政大学ボアソナードタワー 26 階スカイホールへ集合、懇親会を行ないました。

今年のウォークラリーは特に 2・3 年生の参加者が多く、引率をかってでてくれた院生も多かったのが注目されました。

2・3 年生の参加はまったく自主的な意志によるもので、ウォークラリーの楽しさが次第に理解されてきたのかも、と事務局では気を良くしている。

建築同窓会:多彩な活動

方、学生を合わせて 22 名が参加、水彩画、油絵、水墨画、写真、書道、陶芸と作品の幅は広く、多彩でした。今年は特に「水辺」をテーマとしたため、特色のある作品が集まりました。「世界の水辺」展は、エコ研のメンバー

17 名が世界各国の水辺写真約 100 点を展示、世界各地の水辺の魅力を存分に見せてくれました。

なお、「法匠展」の参加作品は近日中に、下記ホームページにアップされます。昨年の作品はいつでもご覧いただけます。

http ://www.ne . jp/asahi/hosei/archi.ob/

第9回 法匠展第 9 回「法匠展 50」は 2006 年 6 月 9 日

(金)~ 13 日(火)武蔵野芸能劇場2階(中央線三鷹駅前)にて開催されました。今年は、法政大学エコ地域研究所との協賛企画

「世界の水辺」写真展を同時開催し、大変賑やかな会となりました。「法匠展」は卒業生を中心として、先生

代官山コース(目黒区総合庁舎)

上野コース(法隆寺宝物館)

第15回 新入生歓迎 ウォークラリー

佐保さんと坪井先生の講演全部を収録したDVDが僅かですが残っています。3枚組み送料込みで2,000 円。希望者はホームページから事務局 ( 小川 ) まで申込んでください。

新井勇治さん (1989年卒 ) はイスラム建築の研究で実績があるが、昨年4月より愛知産業大学造形学部建築学科の助教授に就任。

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川口衞先生川口衞先生を囲んで丹下さんの話をうか

がう会が、 3 月 2 日 ( 木 ) 法政大学市ケ谷ボアソナードタワー 7 階 工学部研究室で行われました。川口先生は国立屋内総合競技場を中心にパワーポイントでご説明いただき、さらに質問に答えていただきました。

内容は主として、構造上の工夫、丹下健三の人柄となりました。

国立屋内総合競技場は丹下さんにとっても、川口先生にとっても、もっとも充実した仕事だったようです。その結果世界が注目する名作が出現したわけですが、それが先生の 30 歳直前という若さだったことにあらためて驚かされました。

青木繁先生昨年亡くなった丹下健三さんについて、

われわれ身近な青木先生と川口先生に思い出話をうかがおうと企画されたもの。

青木先生は、香川県庁舎、駿府会館、倉敷市庁舎、静岡新聞など、丹下健三の最盛期の重要な作品の構造設計を受け持ってこられました。

5 月 16 日、法政大学市ケ谷ボアソナードタワー 7 階において、青木先生を囲んで、丹下さんとの作品を中心にお話をうかがいました。院生からリタイアした OB まで、25 名ほどでお話をうかがいました。青木先生の真摯な人柄の偲ばれるお話に若い世代も感銘を受けた。

ドイツの空にジャンボ鯉のぼり遊泳 (日独親善と文化交流会)

深い緑の森と丘に囲まれた人口 10 万人の静かなドイツの町、カイザースラウテルン市に時ならぬ歓声が沸き起こった。100m のジャンボ鯉のぼりがドイツのこの静かな町の空に見事、遊泳に成功し、トイツ子のど肝を抜いた。(5 月 27 日、28 日 合計 4 回遊泳 )

この町は多くのドイツサッカー代表選手を輩出しているドイツサッカー界のメッカとも言える町で、2006 年 FIFA ワールドカップドイツ大会の日本対オーストラリア戦の会場となった町でもある。またヨーロッパ随一の面積を持つ日本庭園 ( 設計指導は建築家赤松邦彦氏 1965 年工学部建築学科卒業 ) も有し、親日家も多い。またこの市には巨大魚の伝説があり市の紋章もこの巨大魚をかたどっている。

ワールドカップドイツ大会開催に先だち、カイザースラウテルン市と赤松氏の提言により日独親善と文化交流・ワールドカッププレイベントとして実現したものであり、埼玉県加須市 ( 鯉のぼりの里 ) のこのジャンボ鯉のぼり ( 設計は川口衞法政大学名誉教授 ) が出展され、ドイツの大空に遊泳したものである。

町のどこからでも良く見えたと多くの大人も子供も遊泳見学に集まってきてくれ、大空に遊泳するジャンボ鯉のぼりに見入っていた。また加須市からも子供たちに2000 本のミニ鯉のぼりがプレゼントされ不足が出るほどの大人気であった。

鯉のぼりの他にも日本の文化として、津軽三味線、相撲甚句、そして書道のパフォーマンスもあり、大変な好評を博した。

最後に日本庭園に「宇宙めだか」「日本めだか」の放流会が行われ、カイザースラウテルン市主催の夕食会及び日独交歓会が行われ幕を閉じた。

( 同行 1975 年卒・佐藤良一 )

丹下健三を語る

修士設計の最優秀作品に贈る第2回大江宏賞の公開審査会が、4 月 8 日

(土)1 時より小金井の工学部マルチメディアホールにて、満席の学生とOB が見守るなか行われました。

公開審査会は、今年の修士設計 13 点の中からあらかじめ選ばれた 5 点を対象とし、審査委員は専任教員と大学院非常勤講師、さらに同窓会から3 名の合計 16 名で構成された。

作品の発表には 15 分づつの説明と質疑応答時間が与えられた。

今年の審査対象の 5 作品はバラエティに富んでおり、「都市河川沿いの再開発」「ヴォイド空間の展開」「町田市庁舎を対象としたスーパーストラクチュア」「築地場外市場のコンパージョン」「ファサードの立体化による都市編成」とそれぞれ特色のある作品であった。

各自力のこもった模型とパワーポイントによる説明に続いて、審査委員からの質問や意見、発表者との議論が交わされ、審査

委員各氏から講評の後、投票、さらに議論の結果、大村真也君(富永研究室)の「不確定さを享受する建築(町田市新庁舎における新たな公共性の提案)」と決定。

こうして、第 2 回の大江宏賞の受賞者は大村真也君に決まり、記念メダルとともに副賞の 30 万円が贈られた。卒業生から、以下の 3 人が審査委員に加わった。

小島建一(1971 年卒宮脇ゼミ)、加賀谷幸規(1977 年卒大江ゼミ)、小林 仁(1986年卒倉田ゼミ)

第2回 大江宏賞決定大村真也くん

加須市のジャンボ鯉のぼりは、全長 100 メートルと巨大化が進み、ついに加須の人々の手におえなくなってしまった。大阪万博以来空気構造を手がけてきた川口先生が、口環の材料、布の素材と縫い方などをアドバイスしてみごと成功したのが 18年前。

神谷博さん(1974年卒)は6月21日の朝日新聞多摩版「多摩水と人と」に登場、「野川は今、自然河川としての存続の危機に瀕しています」と渇水化が進む現状を心配している。神谷さんは在学中から野川と周辺の湧水の保存運動の中心として活動、マンション建設や道路工事が湧水に打撃を与えていると警告。

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Page 6: 第42号hosei-archi-ob.sakura.ne.jp/bulletin/bn/2006...2 法匠会報 42号 2006.7.20 第19回 法匠セミナー 恒例の法匠セミナーを下記の日程で行 ないます。ふるってご参加下さい。日時:2006年10月28日(土)1時

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女性ネットワーク    第 11回総会開催

『住まいを守る耐震性入門』  絵解き 地震に強い木の家をつくる  チルチンびと建築叢書 2  山辺豊彦監修・鈴木聡絵  A5版・104頁  風土社・1,200円■木造戸建て住宅の耐震性について、イラストを使った、非常に分かりやすい、しかも本格的な解説書である。内容は構造の基本、地盤・基礎、軸組、耐震壁、床組、接合部、小屋組み、となっており、木造住宅の構造の要点を網羅している。一応、家を建てようとしているエンドユーザーを対象にしているが、どうして、設計のプロもおおいに勉強になるに違いない。 とかく、軽視されがちな木造住宅の構造を、実験を積み重ねて実証してきた山辺さんの視点が明快に解き明かしている。

『日本の建築と庭』  西澤文隆実測図集  西澤文隆実測図集刊行会篇  図面篇・A2判・91枚  解説篇・A4判・120頁  中央公論美術出版 (50,000円+税 )■坂倉準三の片腕として、あるいは後継者としての責を担いながら、19年にわたり、関西に残る名庭を実測しつくし、建築と庭のかかわりを追求した建築家・西澤文隆。没後 20 年、このほど残された膨大な図面を整理、分類して刊行にこぎつけた。OB の金沢良春君が西澤さんの晩年に片腕となって実測を助けたことはよく知られているが、刊行会の主要メンバーとしてこの図集の刊行に力をつくした。本書の解説篇に西澤文隆さんの面影をじっくりと書いている。

身近な本棚

女性ネットワーク

4 月 22 日 ( 土 )、法匠女性ネットワークで小江戸「川越」散策に出かけました。今年の春は天候が不順で雨が心配されましたが当日は快晴、同窓会の男性メンバーも加わり楽しい 1 日を過ごしました。

重要伝統的建造物群保存地区の蔵は、明治の大火後に商家が店舗併用住宅として造った蔵 ( 店蔵 ) が中心です。都市景観大賞を受賞した一番街の街並は、車さえ走っていなければ映画村に来たような眺めです。

お茶の亀屋さん ( 山崎家住宅 ) の大蔵 (嘉永 3) では、大火で焼け残った蔵が蔵としての役目を終わった後、ギャラリーとするまでの修復のご苦労をご主人と市役所の加藤さんがお話してくださいました。

店蔵のほかにも、レンガ造の日本聖公会

今回で、11 回を数える総会も、5 月 23日に無事開催することができましたので、ご報告いたします。

昨年は恒例のウォークラリー、法匠セミナー、法匠展への参加と共に、高齢者に関する制度や住宅の勉強会や見学、住宅の見学会、また小金井祭においても岩井桃子さんの「水の都アムステルダム」の講演を行ないました。

今年度の活動も、引き続き高齢者に関する問題、街歩き(すでに 4 月に川越散策を行ないました)や見学会、小金井祭セミナー等を中心にいろいろ企画してゆきたいと思います。皆様のご参加をお待ちしています。

川越キリスト教会 ( 大正 10) や、かわいい緑の洋館、中成堂歯科 ( 大正 2) など近代の建物が散在しているのも川越の魅力です。その中のひとつ木造漆喰塗りの洋館、太陽軒 ( 昭和 4) で昼食をとりました。贅沢な細工の小座敷には富士山をデザインした障子窓が、ピンクの天井の座敷にはステンドグラスの欄間や川越祭りの山車を眺めるための角切りに開けられた小窓など、当時のお大尽の粋な楽しみが垣間見られました。その上耐震補強が雰囲気を損わないようにされていたのには驚きました。

どこへいっても興味あることばかりでつい予定時間を過ぎてしまいましたが、菓子屋横丁では童心にもどってしっかりお土産を買いました。

伝統の街「川越」街歩き小江戸「まちづくり」の魅力を満喫

各種活動も継続

女性ネットワークもいよいよ 11年目、各種活動も多彩に展開しています。でも、まだまだ参加者が限られています。女性の皆さん、もっともっと気軽に参加してください。わたしたちは、いつでもご連絡を待っています。

『集合住宅をユニットから考える』  渡辺真理+木下庸子著  B5判184頁、カラー68頁  新建築社 (2,400円+税 )■月刊『新建築』誌に 4 年間にわたって連載された渡辺先生夫妻の人気の記事をまとめたもの。1950 年代以降の代表的な集合住宅をとりあげ、設計者や企画者など関係者へのインタヴューを交えて分析している。 例としては、代官山ヒルサイドテラス、桜台コートビレジ、NEXT21、深沢環境共生住宅など著名な集合住宅が図面と写真でくわしく紹介されている。 渡辺夫妻が設計者の立場から、都心と郊外、高層と低層、環境、家族など戦後の集合住宅をめぐるあらゆる問題を俎上にのせて、インタヴューを続けており、教えられることが少なくない。

稲葉佳子さん(1978年卒・81年修士)が博士論文「新宿区大久保における都市空間の変容と生成に関する研究」を提出。7月5日公聴会が行われた。主査は陣内秀信教授。論文は稲葉さんの20年にわたる大久保研究の集大成。

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女性ネットワーク長年の夢であった「韓国訪問」が、法政大学渡邉真理教授のお呼びかけを受けて実現した。渡邉研究室ドクターコースの韓国留学生、李

イ ヨン スン

蓮順さんが渡邉教授のご指導のもとに日韓を調整、韓国住宅都市研究院と女性建築家協会主催の

「日韓高齢者住宅と集合住宅に関するワークショップ」が 18 年 3 月 27 日 ( 月 ) に決まり、このワークショップ参加に都市再生の目玉とも言える清

チョンゲチョン

渓川地区や最近完成したリューム美術館の見学、韓国女性建築家協会のメンバーとの交流等を加え、3 月 25日 (土 )から28日 (火 )の3泊4日の旅程で、羽田空港を出発した。念願の韓国訪問がついに実現

メンバーは渡邉真理・木下庸子先生ご夫妻、UR( 都市再生機構 ) 高橋正樹氏、女性ネットワーの安藤照代、小川かよ子、後藤真弓、石川弥栄子の 8 名である。李さんは一足早く韓国に飛び、訪問先との細かい打ち合わせをして下さった。

夕方、金浦空港到着後ホテルで一息し、李さんが加わり伝統の韓国料理を味合いながら、日程の打ち合わせや自己紹介をかねた近況報告等を行なった。その後、女性ネットの 4 人は、調理場を舞台に食器を楽器にして演奏するパントマイム風の音楽劇

「ナンタ」を見て、ホテルで仲良く熟睡。前夜、当面の仕事の片付けで、ほとんど寝ていないため、猛烈な睡魔が「ナンタ」鑑賞中から襲いかかり、リズムにのった「眠気」との戦いの果て、全員ベッドに倒れこんだ状況であった。清渓川(チョンゲチョン)を見学

第 2 日、朝、韓国女性建築家協会のメンバーが運転する車に分乗して、高速道路建設のために埋め立てられた河川を再生、清流を呼び戻したチョンゲチョン地域の見学に向かった。彼女達のご案内で清流周辺を散策しながら、10 年前から再生プロジェクトに関わってきたコンサルタント事務所の代表者から移転にともなう付近住民の説得、清流や橋の復元、景観の調和、材料の

調達等、完成までの経過を伺った。昼食は韓国女性建築協会からのご招待を

受け、ソウルの繁華街である仁寺洞 ( インサドン ) でお国自慢の料理を頂きながら、女性建築家の活動、日本留学中の思い出、共通の友人の近況など話題は尽きることがなかった。活気に溢れた街のご案内も頂き、明るく生き生きとした彼女達の活動が、女性建築家に対する社会的評価の高さにつながっていると実感、頼もしい仲間であることを相互に確認する貴重な時間となった。

その後「リューム美術館」を見学。白磁や青磁の美しさにしばし時間を忘れ、韓国工芸の奥深さと日本への影響の大きさを再認識した。楽しかった一日を振り返りながら、夕食は暖かい名物料理を囲み、明日のワークショップに備えてホテルに戻る。あと 4・5 日で 4 月になる時期、ソウルはまだ肌寒く朝夕の冷え込みがつづいていた。

いよいよワークショップ始る第 3 日、いよいよ今回のメインテーマで

あるワークショップの当日である。韓国から大韓住宅公社の研究員と実務

者、昨日お会いした韓国女性建築家協会の理事の方々、50 名近くが参加、大韓住宅公社の会議場は熱気に包まれ、午前 9 時30 分にスタートした。

住宅都市研究院院長と渡邉教授による代表者挨拶とメンバー紹介の後、まず、日本側が発表、日本におけるシルバーハウジン

グの事業内容と居住者の生活実態を石川、宮城県白石市に建設されたシルバーハウジングの設計コンセプトと日本の集合住宅の開発動向を渡辺教授、東雲地区の集合住宅計画を木下先生、日本におけるユニバーサルデザインの動向を UR の事業活動と共に高橋氏が発表した。

韓国側からは、韓国の高齢化と居住動向、高齢者の住宅政策等を研究院の各専門職の方々が発表し、高齢者福祉施設の整備状況について女性建築家協会理事が発表、午後から視察する「新千年団地」の概況の説明も行われた。渡邉・木下両先生は英語で発表、その他の発表には、それぞれ逐次通訳がつき、質疑応答も行なわれた。住宅団地を見学

午後からは、大韓住宅公社内にある住宅都市博物館を見学、その後、二つの団地の視察を行った。ヨンインシンガル新千年団地では、緑の多い自然の地形を生かし、段状のテラスハウスや搭状住宅等、様々な住宅と日常生活施設を整備したニュータウン開発をみることができた。住戸面積の広い住宅は主に民間事業で整備し、公社が建設する国民住宅は小さい住戸が多かったが、最近は広くて質の高い国民住宅をめざし、この新千年住宅はインテリアにも力を入れ、新しい手法で建設を進めたとの説明があった。良質な住宅のストック形成は、どちらの国も共通の課題である。さらに交通が整備され、ソウルのベッドタウンとして活発な市民生活が展開される日も間近い状況であった。

視察後の懇親会には、大韓住宅公社や研究院の主要な方々、女性建築家協会の方々が出席、韓国と日本の住宅事情を話し合いながら、おいしいお料理とお酒を頂いた。

礼節を重んじる韓国の方々の行き届いた歓迎に感謝。お誘いくださった渡邉・木下両先生、スケジュールをつくり、全行程をご一緒して下さった李さん、お世話になった韓国の皆様、誠にありがとうございました。

「日韓住宅ワークショップ」参加と韓国女性建築家との交流

石川弥栄子 (1963 年卒)

高速道路を撤去し、清流を復元した清渓川

3月 12日 大矢桐子さん (92年卒 ) が埼玉に設計した個人住宅のオープンハウスがありました。新興住宅地に建つシンプルなかわいい箱のような住宅です。

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小金井キャンパスから

法匠会報 42号 2006.7.20

卒業設計公開講評会20062005 年度の公開講評会は、2006 年 2月

4日 ( 土 )1 時 30分より、小金井キャンパスのマルチメディアホールにおいて開催された。審査には建築学科教員、特別審査員として建築家の長谷川逸子、曽我部昌史、藤本壮介の3氏を招いている。講評対象は、141人の作品中から厳選された15作品。講評会の後、食堂でレセプションを。先生方、

同窓、他大学を含む学年をこえた学生達が多数集まり盛況であった。ここで受賞者が発表された。(写真下 )

特別審査員賞■長谷川逸子賞 : 村越千紗 ( 安藤 )、曽我部昌史賞 : 趙 思達 ( 大江 )、藤本壮介賞 : 能登千晶 ( 富永 )卒業設計賞■品村絢子 ( 富永 )、舘岡静乃 ( 富

永 )、趙 思達、能登千晶、村越千紗この公開講評会は、建築同窓会や協賛企業な

どによって支えられている。そして運営には、院生委員が参加、ポスターやプログラム制作、司会、会場設営など全てを担当し、院生パワーを発揮している。

学外卒業設計展等 法大代表決まる卒業設計審査と卒業設計公開講評会を経て、

次の学生が学外で行われる各種展覧会や出版物掲載の法政大学代表に決まりました。■ JIA 展 : 趙 思達・舘岡静乃■日本建築学会

: 能登千晶■レモン画翠展 : 村越千紗■「近代建築」掲載 : 趙 思達

JIA 主催「東京都学生卒業設計コンクール2006」で舘岡静乃君が長谷川逸子賞標記の展覧会に法大から上記 2名が出品、

「kiddy hills」( 舘岡 ) が特別審査員長谷川賞を受賞した。審査員賞は昨年の沼君 (渡邉研 )に続き2年連続である。作品は、小金井の丘陵にボックスが連続する風景の建築。

毎日新聞 DAS 賞に         榎本直信君が入選榎本君 ( 古川研 ) の卒業設計「OVER THE

WAVES- ソウル漢江水辺再生計画」が建築部門で入選した。作品は連続するHP曲面の屋根をのせた巨大な親水施設。この毎日DAS賞も昨年の広島君 ( 永瀬研 ) に続き 2年連続受賞である。

第5回リフォーム&リニューアル展  アイデアコンテストに池田賢君が佳作に標記コンテストに池田 賢 ( 富永研究室4年 )

入選佳作、「月間リフォーム」6月号掲載、東京ビッグサイト展覧会展示

建築学科学位授与式晴れやかに、そして謝恩会は代官山で2005年度建築学科卒業生は、学士150名

( 内女子45)、大学院工学研究科は修士57名 (女子 11)、計 207名が以上の学位を授与された。卒業・修了おめでとう。卒業式は日本武道館、学位記交付は小金井キャンパスで行われた。工学部同窓会からは、成績優秀者として褒賞が次の2名に与えられた。永野尚吾さん ( 富永 )、五十嵐由香さん (富永 )3 月 24日夕、卒業生主催 ( 幹事ー富永ゼミ

) により、代官山モンスーン・カフェにおいて、お世話になった先生方、建築同窓会役員を招いて謝恩会が開催された。先生方からお祝と激励の言葉、そして学生たちからは花束、記念品贈呈があり、名残惜しい卒業謝恩の会となった。

2006年度【春】建築学科・大学院新入生入学

4月 3日 ( 月 ) 日本武道館において2006年度の入学式。桜の花に祝福されて建築学科130名、大学院修士 56名、計 186 名の新入生が入学しました。学部新入生とは5/27( 土 ) の午後、教員・OBと共に都内の建築を見て歩くウォークラリーで多くの交歓をみました。

大きな大学院改革 /「選抜1年コース」と「キャリア3年コース」、そしてUNESCO UIA が検討中の建築家資格

につながるデザインスタジオ制がスタート学部4年生の在学者から特に優れた成績や業

績を有する学生に1年間で修了を可能にする「選抜1年コース」、そして建築以外の学部卒業生に門戸が開かれた「キャリア3年コース」が、従来の建設工学専攻建築学領域に加わった ( 詳細はHPや入学案内参照 )。デザインスタジオ制では、週3日のスタジオに多くの講師がつき、広範多岐にわたるデザイン教育が行われるもので、どのような大学院生が輩出されるか期待される改革である。

カイザースラウテルン工科大学との   ワークショップワールドカップで注目されたドイツの都市カ

イザースラウテルン、その工科大学 ( 院生 +学部 18名 ) と法大建築院生 (22 名 ) のワークショップが新年度早々の4/9~10に開催された。経緯は川口衞名誉教授と赤松邦彦氏 (OB)、指導として永瀬克己主任教授、渡邉真理教授、宮本正行講師、ドイツ側は、クロフト教授ほか5名の教員が加わっている (計 51名 )。4月 9日 ( 日 )9:45六本木ヒルズの森美術館

前集合、展望フロアから東京全体を俯瞰。「ベルリンー東京展」共同見学。

美術館、景色、建物、まち等を「テーマ」を持って見る。翌4月10日、プレゼンを作成し、市ヶ谷校舎でグループ毎に発表 ( 勿論英語で )。Kloft+ 川口両先生のプレゼン。和気藹々の大変たのしい友好の2日間となった。(写真下 )

第2回 大江宏賞公開審査会4月 8日 ( 土 ) 午後、工学部マルチメディア

ホールで開催された。大学院修士設計13名の中から選ばれた相塲英一、大石卓人、大村真也、戸嶋英子、八里直輝君5名の作品発表で、審査は建築学科教員、OB審査員、それに特別審査員の建築家、早川邦彦氏、棚瀬純孝氏、カイザースラウテルン工科大学クロフト教授である。様々な議論がかわされたが、努力のあとがみられ作品のレベルが高いと評価された大村真也君が大江宏賞に決まり、審査委員長の永瀬克己教授から盾 ( メダル )、運営委員会代表の高辻秀明氏から副賞の30万円が手渡された。尚、次点の大石卓人君はレモン画翠展代表に決まった。

佐々木睦朗教授、SANAAと、そしてヨコミゾマコト氏が日本建築学会賞 (作品 )2006年度日本

建築学会賞( 作品)に法政大学建築学科の二人の教員が関わる。佐々木教授は、SANAAの妹島和世、西澤立衛氏と組み金沢21世紀美術館で、ヨコミゾマコト氏は富弘美術館で。受賞3作品のうち2作品とは快挙である。

土木学会デザイン賞に         川口衞名誉教授、永瀬克己教授2006年 6月

に表彰式のあった土木学会で川口衞名誉教授、永瀬克己教授他が「イナコスの橋」( 別府市 ) の設計でデザイン賞優秀賞を受賞した。この橋は10年前に造られ既に日本建築学会作品選奨、土木学会田中賞を受賞しているので、今度の賞でトリプル受賞となる。

夏休みのインターンシップ      「建築実務実習」希望者多数。     卒業生の皆様、ご協力お願いします。8月~ 9月半ばにかけての夏期休暇を将来の

ために切磋琢磨しようと3年生を中心に「建築実務実習」がある。今年もいろいろとお世話になると思いますのでよろしくお願い致します。 ( 渡邉・永瀬・古川・阿部 )

永年に亘って法政大学の建築学科で教鞭を執られてきた、古川修文先生、阿部優先生、中澤治重先生が2007年 3月定年をむかえられます。

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