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世界一受けたい酪農講座 大場真人の技術レポート 子牛と育成牛の新しい話題 ラリー・E・チェイス 技術顧問 行列のできる酪農経営相談所 カレンダー連動企画 原料情勢/粗飼料情勢 初乳の科学 No. 141 2016 秋季 カウ・ベル 全酪連購買事業情報紙 トピックス グッドスタートプレミアムのご紹介

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世界一受けたい酪農講座

大場真人の技術レポート

子牛と育成牛の新しい話題ラリー・E・チェイス 技術顧問

行列のできる酪農経営相談所

カレンダー連動企画

原料情勢/粗飼料情勢

初乳の科学

No.1412016 秋季

カウ・ベル 全酪連購買事業情報紙

トピックス

「グッドスタートプレミアム」のご紹介

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2 COWBELL◦ No.141 秋季号 2016.10

  酪

農TOPICS 

▶2016.7-9

こる前(24 時間以内)に良質な初乳を給与することが重要です。但し、病原体も腸管膜を容易に通過しやすいため、分娩房などの周辺環境は出来る限りきれいにしておくことが大切です。

●初乳粉末製品 「グッドスタートプレミアム」とは1.高免疫グロブリン量の実現 新製品の「グッドスタートプレミアム」は、今までの製品「グッドスタート」に比べ、他の栄養素はそのままに免疫グロブリン量を 1袋あたり約 40%増量し、70g 以上の含有量を実現しました。出生 24時間以内に IgG 量として 150 ~200g を給与することが目標(全酪連酪農セミナー 2016 より)ですが、本製品によって今までより楽に目標を達成することができるようになりました。2.優れた溶解性 今までの「グッドスタート」と同様に非常に溶けやすいため、溶解作業の効率が上がり、哺乳瓶にも残らず給与できます。3.�子牛に必要不可欠なエネルギー量とビタミン・ミネラル

 子牛は被毛が薄くて細く、皮下脂肪が少ない上に、体の表面積が

●子牛の重要性 今回、本会製品「グッドスタート」を新たにバージョンアップした「グッドスタートプレミアム」を販売することとなりました。 近年の和牛素牛価格が高騰している背景には、繁殖農家の減少により子牛頭数が減少していることが要因とされており、子牛の重要性が日々高まってきております。このような状況は酪農家も同様であり、全酪連として改めて子牛を守る製品が現場で必要とされていると考えました。

●初乳の重要性 全酪連が再度注目したのが“初乳”です。常乳に比べてたんぱく質、脂肪、ビタミン、成長因子、免疫抗体が多く含まれております。新生子牛は脂肪の蓄積が非常に少なく、特に寒冷ストレスの影響を受けやすいため、高濃度のエネルギー供給も初乳の重要な役割になっています。 また、生まれたばかりの子牛は、様々な病原体に対して感染防御機能が不完全な状態です。初乳中の免疫グロブリンが、腸管から血中に移行して初めて免疫抗体が獲得

(受動免疫)できるため、腸粘膜でのグロブリン吸収の閉鎖現象が起

容積に比べて大きく冷え易いため、特に寒い時期は多くのエネルギー給与が必要です。本製品は吸収効率の高い中鎖脂肪酸を配合し、栄養要求量の高い子牛に必要なエネルギーとビタミン・ミネラルを給与することができます。4.腸内を守る 腸管から吸収する上で、子牛の腸内環境は重要です。本製品は下痢症対策として特定の細菌・ウイルスの抗体(全卵粉末)を配合しています。また、出生直後に大腸菌などの腸内細菌が増殖するのを抑えるために、乳酸菌とビフィズス菌を配合しており、腸内環境を正常に保ちます。5.�様々なシチュエーションでの利用が可能

 初乳が手に入らない場合、また母牛から良質な初乳が搾れない場合、必要な栄養と免疫抗体の補給として初乳粉末製品を常備していただく事をお薦めします。

●最後に 「グッドスタートプレミアム」は、理想的な栄養素の供給と細菌感染からの防衛を目的とした初乳代用製品です。是非一度、お試しください。

これからの分娩時期に備えて、生まれたばかりの子牛を大切にしましょう

新初乳粉末製品「グッドスタートプレミアム」のご紹介

使用用途代用初乳として!

初乳サプリとして!

和牛子牛にも!

1 免疫グロブリン70g/袋以上!2 サラっと溶けやすい!3 下痢症に対して機能性に優れた全卵粉末を配合!4 エネルギー源となる吸収効率の高い中鎖脂肪酸を配合!5 子牛1日あたりの要求量を上回るビタミン、ミネラルを配合!6 お腹の調子を整える乳酸菌、ビフィズス菌を配合!

6 つの特長!

グッドスタートが新しくなりました!

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No.141 秋季号 2016.10◦ COWBELL 3

平成28年10〜12月の牛用配合飼料の価格改定と原料情勢について原料情勢Feed Ingredients

1. 改定額(平成28年7〜9月期対比)   (1)牛用配合飼料 トン当たり 1,100円 値下げ(全国全銘柄平均)   (2)牛用哺育飼料 トン当たり 10,000円 値上げ(全国全銘柄平均)   ただし、改定額は地域別・品目別・銘柄別に異なります。

2. 適用期間 平成28年10月 1日から平成28年12月 31日までの出荷分3. 安定基金(一社)全国畜産配合飼料価格安定基金からの価格差補塡金の交付につきましては、1月中下旬頃決定されます。なお、発動となった場合、交付日程は従来通りとなります

▶▶主原料 主原料である米国産トウモロコシは、9 月 12 日米国農務省の需給予想において 2016 年産の生産量は 150 億 9,300 万ブッシェル(3 億 8,338 万トン・前年比 111.0%)、単収は 174.4 ブッシェル / エーカー、総需要量 144 億 7,500 万ブッシェル(3 億 6,768 万トン)、期末在庫 23 億8,400 万ブッシェル(6,056 万トン)、在庫率 16.5% と発表されました。 4 年連続の豊作がほぼ確定し、特に今年は史上最高の豊作になると見られており、潤沢な期末在庫により、シカゴ相場は弱含んでいます。

▶▶副原料 大豆粕について、シカゴ大豆粕相場は南米の天候不順の影響により上昇していましたが、米国産大豆で史上最高の豊作が見込まれることから反転、軟調に推移しています。

▶▶糟糠類 糟糠類については、グルテンフィードは需要の増加に加え、輸入量が減少していることから、需給は引き締まり、値上げの見込みです。また、ふすまは需給が適正となっており、相場は横ばいで推移する見通しです。

▶▶脱脂粉乳 脱脂粉乳については、需要面では引き続き中国の経済減速、ロシアの禁輸措置継続により弱い状況ですが、供給面では、世界的な乳価低下の影響を受け、オセアニアなどの主要産地での生乳生産減少傾向により、市況は底を打ち強含んでいます。

▶▶海上運賃 海上運賃については、船舶のスクラップが進み、余剰感が解消されつつあります。また、これから始まる北米の穀物輸出シーズンに向け引き合いが強まると見られ、堅調に推移しています。

▶▶外国為替 為替相場は、英国の EU 離脱による先行きの不透明感に加え、米国の利上げ並びに我が国の追加金融緩和策などを、睨みながら方向感のない展開となっていますが、現状では前期対比円高ドル安基調での推移となっています。

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 本会が供給する牛用飼料(配合・哺育)について、下記のとおり価格を改定することといたしましたのでご案内申し上げます。

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粗飼料情勢▶▶北米コンテナ船情勢

 各船社、引き続き採算が悪い状態が続いており、10 月 1 日からの海上運賃修復(GRI)を通知し始めた船社もあります。今年に入り、GRI の通知は出すものの、ほとんどの船社が直前で延期、撤回を繰り返してきましたが、9 月初旬に韓国の大手船社へ会社更生法が適用されるなど、各船社の経営悪化が表面化してきています。この影響で、本船数が減り、多くの荷主は他の船社へブッキングを移行せざるを得ず、船腹の余剰感が解消されつつあることなどから、今回は GRI を強行してくる船社が多数出てきそうです。 加えて、各船社は収支の回復のために、GRI の他にも新たなチャージや単価の変更を要求してきています。米国側ではデマレージ(コンテナ超過保管料)、ディテンション(コンテナ返却延滞料)の単価引き上げの動きや、日本側では新たなチャージ等(一例:CMC(コンテナメンテナンスチャージ=欧州向け航路では既に実施している船社もあり)を要求する動きも出てきており、今後の海上運賃並びにそれに付帯するコストの上昇は不可避の状況になっています。

▶▶ビートパルプ《米国産》 日本向けの主産地では、例年よりも 10 日前後早い 8 月中旬から収穫とペレット生産がスタートしています。降雨が多く作柄に若干の懸念がある地域も一部ありますが、その他の地域は概ね良好であり、全体としては昨年並みに良好な作柄と言えそうです。 中国向けの輸出解禁については様々な情報が飛び交っている状況ですが、解禁に向けての準備は進んでおり、あとは時期的な問題と言われています。中国向けが解禁になると、需給の地図が大きく変わる可能性もあり引き続き動向には注視が必要です。

《韓国の需要状況》 同国の輸入通関統計によると、7 月の輸入数量は 11,406 トンとなっており、1 ~ 7 月合計で 100,252 トンとなっています。需要は日本同様に減少傾向と見られますが、概ね月間 12,000 トン程度は維持されているものと思われます。

▶▶アルファルファ《ワシントン州》 主産地のコロンビアベースンでは 3番刈の収穫が終了し、4 番刈の収穫が始まっています。1 番刈で例年よりも多い70 ~ 80%程度が雨当たり、2 番刈でも40 ~ 50%程度が何らかの雨当たり被害を受けており、3 番刈で良品が多く発生することが期待されましたが、3 番刈においても 2 番刈と同様、全体の 50%程度で軽度~重度までの雨当たり被害が発生しています。品質については、収穫前の気候がやや冷涼になったこと、また夜露も降りるようになってきたことから、圃場によってはブリーチが多いものが発生しているものの、葉付きも良く、成分が高いものが生産できているようです。産地

ワシントン産3番刈(8月中旬撮影)

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HAY Business平成28年9月8日

相場の動向は、まだ不透明ですが、当地域においてはプレミアム品の発生が限られていることから、プレミアム品の価格は引き続き堅調に推移していきそうです。 また例年、4 番刈の収穫は 9 月中旬の冷涼な時期に行われ、夜露が多く付き、ブリーチが発生しやすいため、米国内中心に流通しますが、今年は産地全般で収穫作業が例年よりも 2 週間程早いペースで進んでいるため、多くの 4 番刈が輸出向けとして供給できる見込みとのことです。

《オレゴン州》 南部クラマスフォールズでは現在 2 番刈の収穫がほぼ終了しており、早い圃場では 3 番刈の収穫がスタートしています。1 番刈で 20%程度の降雨被害が発生し、2 番刈でも同様に 20 ~ 30%程度の雨あたりが発生しているようです。品質については、収穫ペースが例年よりも早く、全体的に早刈り傾向であったことから、高成分なものが比較的多く生産されているようです。また、昨年は山火事の煙の影響で、ウインドローの期間が長くなり、ブリーチが多くなる圃場が大量に発生しましたが、今年は山火事の発生もなく、ブリーチの程度は昨年よりも軽度なようです。  中部のクリスマスバレーでは、2 番刈の収穫が終盤に差し掛かっており、こちらも例年より進捗がよいため、多くの圃場で 3 番刈まで収穫できる見込みです。2 番刈の収穫期は天候にも恵まれ、例年並みの良品が発生している模様です。 産地相場については、当地域においても引き続きプレミアム品の引き合いは強い状況にありますが、ワシントン州を除く米国西海岸全域で 2 番刈以降プレミアム品が順調に発生していることから、1 番刈の時点と比較するとやや弱含みな状況にあるようです。

《カリフォルニア州》 カリフォルニア州中~北部では現在 4番刈の収穫が終盤を迎えており、早い圃場では 5 番刈の収穫が始まっています。2 番刈以降、降雨被害も少なく、見た目がきれいな緑目のものが引き続き多く発生しているようです。産地相場については、当地域は産地間で比較すると相対的に割安感はあるものの、2 番刈以降良品の発生が続いていることから、引き合いが過剰に集中することなく相場は比較的安定しているようです。 南部インペリアルバレーでは 6 番刈の収穫が始まっており、低成分ですが見た目がきれいで緑目なものが多く生産されています。産地相場については、中国からの需要が引き続き強く、高値で安定したまま推移しています。

クラマスフォールズ産2番刈(8月上旬撮影)

インペリアルバレー産4番刈(8月上旬撮影)

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6 COWBELL◦ No.141 秋季号 2016.10

▶▶チモシー《米国産》 主産地のエレンスバーグ、コロンビアベースン共に早くも 2 番刈の収穫が終盤を迎えています。1 番刈は既報の通り、例年より 2 週間早く刈り取りが始まりましたが収穫期の天候不順により、大小あるものの雨に当たった圃場が全体の 40%前後発生したと言われています。この影響で馬向けの良品が不足しており、牛向けの上級品を一部買い付ける動きになっており、これらの上級品が全体的に不足している状況です。 2 番刈は生育期の天候は順調でしたが、相場の低迷を嫌って 1 番刈後に他作物へ転作した生産農家が増えています。2 番刈は高温と高湿度の影響により、茶葉の混入が多くなっており、1 番刈と同様に上級品の発生量は限定的になっています。このため、2 番刈の上級品は 1 番刈が十分買えなかった需要筋からの強い引き合いを受け、買付競争が過熱し相場は強含みとなっています。

《カナダ産》 アルバータ州南部レスブリッジでは 1 番刈の収穫が終了しています。今年の単収は例年並みでしたが、収穫期の天候は不安定でした。このため、馬向けの最高級品は数少ないものの、牛向けは上級品から低級品まで各グレードが満遍なく生産されています。 アルバータ州中部のクレモナ地区では、播種時期に乾燥し土壌水分が不足している中、7 月下旬から刈り取りが始まりましたが、この時期に収穫されたものは茶葉の混入が多く、上級品の発生は極めて限定的となりました。その後、8 月中の天候が不安定だったことに加え、8 月下旬までは最高気温が 80F

(26℃)を超える日がほとんどなかったことから、未だ刈り取りの進捗は 50%程度と言われています。現時点までに収穫、買付されたものも雨あたり品が多くなっており、今後収穫される圃場においては、ほとんどが刈り遅れになる見込みのため、このエリアからの上級品の発生は絶望的となっています。

▶▶スーダングラス 最新の作付面積の報告によると、8月 15 日時点の面積は過去 4 年での最低となっており、2 番刈りの作付面積が大きく減少していると見られます。 作柄としては不安定な天候の影響を大きく受けた昨年に比べると、茶葉も少なく比較的安定した品質が中級品を中心に多く見られました。一方で、色抜け品は湿度が本格的に出始める前に作付面積が減少し始めたことから、発生量は例年に比べ少ない状況です。インペリアルバレーの収穫は例年より 2 週間ほど早く進捗しており、2 番刈も含め 90%程度終了しています。 一方、北カリフォルニアでは産地価格の低迷を受け、作付面積は昨年に比べて大幅に減少しています。当地域はインペリアルバレーのような作付面積の統計はありませんが、昨年に比べ 70%前後は減少しているとの情報もあります。このため、供給力は限定的で価格については、エルセントロ産よりやや高値で推移しそうです。

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2016年産 インペリアルバレー スーダン作付面積動向(2016年8月15日時点)

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No.141 秋季号 2016.10◦ COWBELL 7

HAY Business

▶▶クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)

 クレイングラスの作付面積の減少傾向は変わらず、8 月 15 日時点としては過去 4 年間で最も少なくなっています。インペリアルバレーでは8月末時点で3番刈が終了しており、多くの圃場で 4 番刈が行われています。相場の低迷から作付意欲は引き続き弱く、収穫作業を行わず休耕に入る圃場が多くなっています。作付面積の減少による今後の生産量の減少が予想される中、韓国からの買い付けは活発な状況です。このため、先々の産地相場は引き続き強含みで推移すると思われます。

▶▶ストロー類 (フェスキュー・ライグラス) 産地であるオレゴン州ウィラメットバレーの収穫は 8 月に終了しました。作柄は降雨被害を受けている影響で 15 年産に比べ良くないとの評価になっています。16 年産の良品は限られた数量になるとの予想ですが、15 年産の在庫が一部繰り越しになっていることもあり、足元の需給バランスは大きく崩れていません。しかしながら、韓国からの買い付けが活発化しつつあり、加えて一部の生産農家は相場の上昇を待って倉庫に多くの在庫を置き始めている状況のため、今後の価格は強含みになるとの予想が出ています。

▶▶豪州産オーツヘイ 各地域では 8 月も十分な降雨があり、生育は順調に進んでいます。 一方で、過去 2 年間は旱魃傾向で比較的嗜好性が良いオーツヘイが多く生産されていましたが、今年は降雨も十分で収量も多くなると見込まれており、直近 2 年との嗜好性面での差に早くも懸念を示すサプライヤーも出てきています。 今後の天候についても、例年並みの降雨があると見込まれていることから、全域の収穫を終えるのは 10月いっぱい掛かると予想されています。このため、新穀の出荷がやや遅れる可能性もあり、15 年産の在庫が少ないグレードについて、サプライヤーは生産農家が抱えている一部の旧穀在庫を買い付ける必要が出て来ており、産地相場はやや強含みに推移し始めています。 昨年の豪州から中国に向けた乾牧草の輸出量は 163,721 トンとなりました。 2016 年に入っても日本に次ぐ輸出先となっており、産地での影響力は北米同様強まって来ています。

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2016年産 インペリアルバレー クレイングラス作付面積動向(2016年8月15日時点)

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Tons

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2016年 豪州産ヘイ 輸出先別数量推移

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8 COWBELL◦ No.141 秋季号 2016.10

 酪農場における子牛と育成牛プログラムの重要性は、農場管理者が良く認識していることである。日本でも、これまでに数多くの論文や学会でこれらの動物に対する栄養給与と飼養管理が提供されてきた。最近、興味深いいくつかの新しい情報が利用可能になった。2016 年の ADSA(米国酪農学会)では、この話題に関する数多くの文献や発表があった。また、USDA(米国農務省)が発表した 2014 年のNAHMS(動物衛生監視システム)の調査結果も興味深いものであった。これらのうち、いくつかの“新しい情報”は、現在まで用いられてきた手法を評価・確認するものであろう。

■�牛群の乳生産水準と初産分娩月齢の間にはどのような関係があるのか?

 この疑問に答えるため、私はノースカロライナ州ローリーにある DHI(牛群検定)センターで処理されたデータにアクセスしてみた。私が用いたのは、米国中西部と東部のホルスタイン酪農の 8,845 農場のデータである。これらの牛群の平均初産乳量は7,700kg、初産分娩月齢は 27.9 ヵ月だった。平均初産分娩月齢は、乳量の増加につれて減少(早まった)していた。初産平均乳量が 14,500kg 以上の農場では、初産分娩月齢は 23.9 ヵ月であった。我々はニューヨーク州の牛群でも、高泌乳農場の初産分娩月齢が 21~ 23 ヵ月齢の農場を良く見かける。しかしながら、この初産分娩月齢と牛群の乳量の関係は、初産牛の分娩後の体重が、その農場の成熟牛達に対して 82~ 85%に達している場合にのみ成り立っている。もし、初産牛が小さくて初産分娩月齢が早いのであれば、我々は難産の増加や代謝疾病、そして低い初産乳量を見るだろう。

■�我々は如何にして初乳中の免疫グロブリンを測定すべきか?

 初乳の品質 (IgG 濃度など)は個体ごとに が異なることが知られ、また、それは牛群間や同じ牛群内

でも個体によって異なることが良く知られている。最も一般的な方法として、初乳メーターが良く用いられているが、これは初乳の品質を推測する場合に簡易なものである。第 2 の選択肢として、ブリックス糖度屈曲計(以下ブリックス・メーター)の利用があり、これにより品質の推測が可能である。2016 年の ADSA では、初乳中の IgG レベルを放射免疫拡散法(radial immunodiffusion =RID、ラボ分析手法)とブリックス・メーターによる比較測定をカリフォルニア大学デイビス校がポスター発表した。この結果、ブリックス・メーターの示した値は、放射免疫拡散法の値と高度に相関があり、迅速な測定法として利用可能であることを示していた。彼らはまた、ブリックス・メーターが 19%と表示する際には、その初乳が 50g の IgG /リットルを含んでいることを定義できるとした。2014 年の NAHMD レポートでは、米国の酪農場の 4%がブリックス・メーターを使用して、子牛に与える初乳の品質改善に用いていることを示した。私は、このようなツールは、初乳給与を改善するために、農場で日常的に使用する必要があると考える。

■ �2014年NAHMS(全米動物健康監視システム)より

 2014 年の NAHMS 酪農部門レポートには、様々な飼養管理手法に関する情報が含まれており、これらの要約は、あなたの農場との比較に関する基盤を提供(示唆)するだろう。 子牛と育成牛に関連するポイントは:

(訳者注:必ずしも理想的なものが高率な結果ではないので、解説を付記する)

世界一受けたい

酪農講座�

子牛と育成牛の新しい話題ラリー・E・チェイス技術顧問

“What’s New for Dairy Calves and Heifers?”

●分娩房に牛が滞在する時間が14時間未満は82%以上だった(分娩房に滞在する時間はできるだけ短い方が良い)

●生後48時間以内に死亡する子牛が5.6%以下だった (できるだけ少ない方が良い)●分娩後子牛を6時間以内に母牛から離す農場が56% (一刻も早く母子分離が衛生上好ましい・細菌感染や伝染

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No.141 秋季号 2016.10◦ COWBELL 9

■�全酪連のADSA発表

 2016 年 ADSA では、全酪連がスポンサーとなった研究が 2 題発表された。いずれも、カーフスターターに乳糖を添加した影響を調査したものであった。主な研究者は全酪連酪農技術研究所の猪内と三枝であり、アルバータ大学の大場教授による指導の下実施された。彼らはホルスタイン子牛に

CP28%,Fat15%の代用乳(カーフトップ EX)による強化哺育を行い、56 日齢で離乳した。ペレット&フレークのカーフスターター(乾物中 CP23%)に乳糖を 0%、5%、10%処方して比較した。カーフスターターは 7 日齢から給与が開始された。なお、哺育期間中のクレイングラス給与量は 150g /日に制限された。カーフスターターの澱粉含量は、乳糖処方水準によって 29.7%、27%、21.4%であった。 この試験の結果、カーフスターターに対する 10%までの乳糖処方による摂取量、子牛の発育、消化管の発達には差がなかった。この試験の 2 つ目の要素はルーメン発酵に関するものであった。日齢 55 ~62 日および 77 ~ 80 日におけるルーメン pH の平均、最小・最大値およびルーメン pH が 5.8 未満の時間は、カーフスターターに対する乳糖処方による影響がなかった。しかし、77 ~ 80 日齢では、乳糖処方によりわずかなではあるが、有意にルーメン pH が低い関係が示された。乾草の摂取量は試験区による差はなかったが、ルーメン pH の平均値と最高値に関係していた。ルーメン内酢酸含量は、乳糖処方によりプロピオン酸が低下した際に増加していた。乳糖処方によるルーメン pH への潜在的影響を定義するための追加研究が必要であろう。この研究は、カーフスターターへの乳糖添加がその水準や原料コストによっては受容可能なことを示唆している。

■�まとめ

 以上に要約したこれらの情報は、初乳の品質、牛群管理手法、カーフスターターの成分が子牛の発育や成績に貢献しうることを示している。これらの情報は、我々の子牛と育成牛プログラムを改善していくうえで便利なものである。ただし、初乳の品質と量、きれいで乾燥した施設、代用乳成分とその給与量などの基本が成功するために重要な要因である。一つの最も大きくて単純なチャンスは、初乳の IgG 濃度を評価し、余剰分を高品質に保ち将来の利用に供するための作業標準を確保することである。多くの農場において、IgG の適切な摂取による免疫獲得を保証することで子牛の正常な発育と成績を向上させることができる。次号のカウベルでは2016 年 ADSAからさらに追加的な研究情報をレポートする予定である。

病防止のため)●母牛に直接子牛を授乳させている農場はわずか4.6%だっ

た(舎飼いでは乳房の衛生状態に懸念・放牧草地なら乳房はきれいかもしれない)

●生後、最初の初乳を給与する平均的時間は3.6時間後(最初の初乳給与は早いほど良い)

●個々の牛からの初乳をパスチャライズせずに給与する農場は89%(衛生的な初乳ならばパスチャライズ無用だが、搾乳牛後細菌数増加した場合必要)

●初乳をボトルで給与する農場は87%、カテーテルやバケツで給与は4.5%だった(初乳を早期に衛生的に給与できれば何でもよいが、哺乳ボトルが飲ませやすい。ただし、哺乳ボトル自体の衛生には要注意)

●最初の初乳を4リットルかそれ以上給与する農場は22%、2リットルかそれ以上は53%(ホルスタインの場合、最初の初乳を4リットル給与できることが理想)

●余った初乳を将来の利用に備えて凍結する農場は49%、そのうち73%は冷凍庫を使用(余った初乳をその保存予定期間に応じて冷蔵または凍結保存することは有効。冷凍庫の使用は確実な凍結温度を確保でき好ましい)

●子牛を野外の個別のカーフハッチで飼養する農場は38%、牛舎内の個別ペン飼養は25%だった(屋外のカーフハッチ飼養は環境衛生には良いが冬季の寒冷対策や労働が負担。牛舎内の個別ペン飼養は飼養管理が比較的容易だが、環境衛生と換気に要注意)

●屋外のカーフハッチ飼養農場の94%が冬季には敷料の追加や防風措置を実施(寒冷環境下ではカーフハッチの寒冷対策が不可欠)

●農場で給与されている代用乳の75%が有薬(欧米では市販代用乳への抗生物質添加は禁止されており、必要に応じて獣医師による抗生物質添加指示処方による添加が許可されている)

●生乳をパスチャライズして給与している農場は7%(なお、残留抗生物質反応の強い販売不可能乳=廃棄乳を給与する場合、パスチャライズしても腸内細菌への悪影響があり、下痢の発生が多くなっている。欧米では耐性菌の懸念からも、抗生物質残留廃棄乳の給与禁止を検討する研究者も少なくない)

●代用乳を使用している農場の59%がCP20%、31%がCP20~24%、9%が農場の95%が1日2回哺乳だった

(米国では、疾病予防や発育改善のために、とにかく哺乳量を増やす、離乳を遅くする傾向がみられる)

●農場の61%が子牛のサイズに合わせて哺乳量を調整していた(一律朝夕2リットルずつの哺乳から脱却し、子牛の体格に合わせて哺乳量を調整するようになってきた)

●平均的な離乳は9週齢であった(かつて4週齢前後での離乳が主流だったが、哺乳期間の延長による発育改善や円滑な離乳が増加傾向にあると思われる)

ポスター・セッションで発表する猪内研究員

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10 COWBELL◦ No.141 秋季号 2016.10

初乳の科学カナダ アルバータ大学 乳牛栄養学 教授 大場 真人 博士

はじめに

 今、乳牛の栄養学研究者の間では「初乳の持つ力」が再注目されています。初乳に免疫抗体(イミュノグロブリン G;以後 IgG と略)が含まれていること、生後 24 時間以内に初乳を飲ませることが子牛の健康に必要不可欠なことなどは、以前から知られており推奨されていました。しかし、初乳にはIgG 以外のものも含まれており、免疫以外の面で、初乳給与にどのような生理的な効果があるのかが注目されています。さらに、初乳給与から最大限のメリットを得るには、初乳の保存方法や管理に注意を払うことも重要です。今号のレポートでは、最近のアメリカ酪農科学誌に発表された論文を二つ紹介して解説したいと思います。

初乳に含まれるホルモン(Ontsouka et al., 2016)

 初乳には、IgG だけではなく、いろいろなホルモンが含まれています。表 1 に、その代表的なものをまとめましたが、IGF–1 や成長ホルモンなど増体・成長を促進するホルモンや、インシュリンなどエネルギー状態の指標となるホルモンが豊富に含まれています。これらのホルモンは、ホルモンとして子牛の体内には吸収されないかもしれません。しかし、子牛の消化器官(小腸壁)には、これら“バイオ・アクティブ”なホルモンを認識できるレセプターが存在しています。そのため、これらホルモンは小腸に直接働きかけ、絨毛突

起の発達を促し、消化・吸収能力を高めることができます。 哺乳中の子牛にとって乳糖は主なエネルギー源ですが、乳糖の消化酵素は、アミラーゼなどの消化酵素とは異なり、消化器官から「分泌」されるものではありません。乳糖の消化酵素は小腸壁の一部として存在し、小腸壁のすぐ外側で、乳糖を分解・消化し、その結果できる単糖(グルコースやガラクトース)を細胞内に吸収するような仕組みになっています。そのため、初乳に含まれるホルモンが小腸壁の絨網突起の発達を促進すれば、子牛の消化能力は高くなります。さらに初乳はコレステロールも豊富に含んでいます。コレステロールは細胞膜の一部を構成する栄養素であり、小腸壁の細胞の増殖・新陳代謝に必要不可欠です。子牛のコレステロール摂取量は、小腸における消化・吸収活動に大きな影響を与えます。

 このように、初乳には小腸壁の絨毛突起の発達を促進するものがたくさん含まれており、誕生直後の子牛が消化器官を発達させるのに必要不可欠なものです。

「初乳をきちんと飲んだ子牛は、消化能力が高くなる」と言い換えても良いかもしれません。代用乳の給与量を増やすと子牛の下痢が多くなることを心配する酪農家の方がいます。消化不良だけが下痢の原因になるわけではありませんが、初乳をきちんと飲ませることは「強化哺育」を成功させる上でも非常に重要だと考えられます。 今、北米の研究者の中では、移行乳(分娩してから 2–3 日目に泌乳されるミルク)の生理的機能・給与効果への感心も高まっています。移行乳には、初乳ほどの IgGは含まれていません。しかし、普通のミルクには見られない“バイオ・アクティブ”なホルモンや栄

大場真人の技術レポート

表1 牛の初乳と牛乳の比較(Ontsouka et al., 2016)

初 乳 牛 乳

IgG、mg/mL  75–96 –

IGF–1、µg/mL ~3000 5–50

IGF–2、µg/mL 1825 ± 608 1± 0.1

成長ホルモン、µg/L ~2 0.1–0.3

インシュリン、µg/L 6–37 4–7

コレステロール、mg/mL 610–890 102–449

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養素が、移行乳には豊富に含まれています。子牛の健康という一面だけでなく、誕生直後の消化能力の向上や増体速度を高める上で、初乳・移行乳の持つ力を再検証すべきかもしれません。

初乳の保存方法の影響(Cummins et al., 2016) 

次に紹介したい研究論文は、初乳の保存状態が細菌数などにどのような影響を与えるのかを調べたアイルランドのダブリン大学の研究です。初乳を搾った後、すぐに低温殺菌しなかったり、冷凍保存しない場合、初乳を室温でそのまま数時間放置しておくケースが、農場では多々見られます。気温がそれほど高くなくても、細菌数は大量に増えます。図 1 に初乳を 4度、13 度、20 度で保存した場合、細菌数がどれだけ増えるのかを調べたデータを示しました。このデータの「読み方」ですが、細菌数がLog で示されている点に注目してください。0 時の細菌数は「5」ですが、これは 10 の 5 乗、つまり 10万です。これが「6」になると 10 の6 乗、つまり 100 万になります。4度で保存した初乳の細菌数は、約2 日後に 100 万を越えましたが、13 度で保存した初乳は約 12 時間後に、20 度で保存した初乳は約 6時間後に、同じレベルに達しました。さらに時間の経過とともに、細菌数は 100 倍から 1000 倍のレベルに増えました。 20 度という気温は、人間にとっては快適な気温です。さらに 13度という気温は、人間にとっては

少し肌寒く感じる気温かもしれません。モノが腐る・細菌が増えるという感覚にはなりにくい温度です。しかし、4 度(冷蔵庫の温度)と比較して、細菌数は時間の経過とともに大幅に増えたことは注目に値します。 初乳に含まれる細菌は IgG の吸収を妨げます。たとえ初乳に十分な IgG が含まれていたとしても、保存状態が悪く細菌数が高い初乳を飲まされた子牛は、IgG の吸収効率が激減してしまいます。出荷する牛乳には細菌数の上限があり、酪農家の方々は衛生管理などに注意して仕事をしています。しかし、子牛に飲ませる初乳に関しては、細菌数を定期的にチェックする機会がないこともあり、細菌数が高い、出荷できないようなミルクを、平気で(あるいは気づ

かずに)子牛に飲ませているケースが多々あります。ここで紹介したダブリン大学の研究データは、初乳の保存に注意を払うべきこと、少なくとも冷蔵保存することの大切さを示しています。

まとめ

 初乳に含まれているのは免疫抗体だけではありません。消化器官の発達に必要不可欠なホルモンや栄養素が含まれ、消化・吸収能力を高める上で必要不可欠です。さらに、初乳給与から最大のメリットを得るためには、初乳の保存方法などにも注意する必要があります。細菌数は簡単に増えるため、冷凍保存しない場合でも、すぐに給与しないなら冷蔵庫で保存し、細菌数が増えるのを防ぐ必要があります。

Nutrition&Management

図1 初乳の保存温度が初乳の細菌数(Log)に与える影響 (Cummins et al., 2016)

※IGF(インシュリン様成長因子);筋肉・骨・神経等の細胞成長に影響を与える

20℃13℃4℃

0 6 12 24 36 48 60 72

時間の経過(時)

10

9

8

7

6

5

4

(bg )

合計細菌数

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準確定申告について相続人が青色申告をする場合の青色申告承認申請書の提出期限は、①相続がその年の 8 月 31 日以前のときは相続の日から 4 ヶ月以内、②相続がその年の9 月 1 日から 10 月 31 日の間であるときはその年の 12 月 31 日、③相続がその年の 11 月 1 日以後であるときは翌年 2 月 15 日――です。また、「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出期限はその年の 3 月 15 日ですが、その年の 1 月 16 日以後開業した場合は 2 か月以内となります。  

2.どのように決算すればよいのか?

⑴被相続人及び相続人の決算 死亡した者の死亡する日までの期間における事業等に関する所得税の申告をしなければなりません。この所得税の申告を準確定申告といいます。相続のあったことを知った日の翌日から起算をして、4 ヶ月を経過した日の前日までに、相続人が共同で申告をすることになります。これは、確定申告書に準確定申告と記載し、付表を添えて申告手続きをすることになります。 被相続人の決算は死亡の日までの期間を対象として行います。この場合、年初から死亡の日までの収入金額や必要経費は被相続人、死亡の翌日から年末までの分を相続人のものとして計上するのが原則です。しかしながら、酪農経営では 1 月単位で乳代精算が行われるため、収入金額や必要経費について日割り計算を行わず月単位で被相続人と相続人に割り振ることもやむを得ないと考えます。 DMS の基盤となっている酪農専門の会計ソフト

「全酪 SaaS(e 酪農経営)」は、準確定申告にも対応しています。事業主の死亡日を登録すると、青色申告決算書の減価償却費の計算をその年 1 月 1 日からその死亡の日までの期間(1 月未満切上げ)の月数を乗じて計算します。また、損益計算書や貸借対照表の期間や期日について終期の表示を死亡の日として表示するほか、「準確定」と記載した確定申告書が氏名の前に「被相続人」を付けて印刷されます。

第 17 回

1. 事業主逝去の場合の手続き

⑴相続とは何か? 相続とは、人が死亡した場合に、その者と一定の親族関係にある者(配偶者や子など)が財産上の権利・義務を承継することをいいます。死亡した人を被相続人、承継した人を相続人といいますが、被相続人が営んでいた酪農などの事業について、相続によって経営継承される場合、被相続人の権利や義務を相続人が包括的に継承します。

⑵どのような届け出が必要か? 被相続人及び相続人の双方について、「個人事業の開廃業等届出書」を提出します。また、相続人が青色申告をするには「所得税の青色申告承認申請書」に加えて、専従者がいる場合には「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出することになります。

アグリビジネス・ソリューションズ㈱代表取締役 森 剛一(税理士)

がんばって!

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⑵減価償却費の計算 被相続人の決算において、減価償却費の計算は、死亡した日までの月割計算となります。この場合、1月未満は 1 月となります。一方、相続人の減価償却費の計算につても、相続によって開業した日からの月割計算となります。この場合も 1 月未満は 1 月として計算します。月の中途で被相続人が死亡した場合、たとえば、11 月 1 日に死亡した場合、被相続人において 11 カ月分、相続人において 2 カ月分の減価償却費を計算します。このため、結果的には相続人と被相続人とを合わせて 13 か月分が計上されることになります。 相続の場合、減価償却資産の取得価額及び未償却残額は、相続により取得した者が引き続き所有していたものとみなされます。このため、相続により取得した資産の減価償却費は、被相続人の取得価額及び耐用年数、未償却残高を引き継いで計算します。ただし、相続日が取得日となりますので、被相続人

が平成 19 年 3 月 31 日以前に取得して「旧定額法」が適用されていた資産についても、今後発生する相続では、相続人において一律に「定額法」が適用されることになります。また、償却方法は引き継ぎませんので、被相続人が定率法(旧定率法)を選択していて、相続人においても引き続き定率法による場合には、改めて届出書を提出する必要があります。

⑶消費税の取扱い  消費税について、相続の場合は納税義務を継承しますので、相続があった年の基準期間(前々年)における被相続人(親)の課税売上高が 1 千万円を超える場合、相続があった日の翌日以後その年分の相続人(子)の納税義務は免除されません。これに対して、生前の経営継承の場合、継承者(子)は新規開業の形になりますので、継承者には基準期間の課税売上高がないことになり、課税事業者を選択しない限り、開業した年とその翌年は免税事業者となります。

Finance&Management

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全酪カレンダー 連動企画

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 生後間もない新生子牛は、体脂肪の蓄積が非常に少なく、体重に対する体の表面積が大きいため、寒冷ストレスの影響を受けやすいとされます。したがって、初乳給与には免疫グロブリン供給だけではなく、高濃度のエネルギーを供給する事も大きな役割になっているのです。  ホルスタイン種の場合、新生子牛の熱的中世域はおよそ 10℃~25℃です。この域以下の環境で管理される子牛への対応としては、

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No.141 秋季号 2016.10◦ COWBELL 15

発行責任者 岡田 征雄発行所 全国酪農業協同組合連合会 購買部 〒 108-0014 東京都港区芝四丁目 17 番 5 号 TEL 03(5931)8007 http://www.zenrakuren.or.jp

全酪連購買事業情報紙

COW BELL ─カウ・ベル─ No.141(秋季号)平成 28 年 10 月10 日発行

CONTENTS No.141表紙の写真

[撮影場所]内山牧場大コスモス園

月 日 対 象 名 活 動 内 容 実施者 担当部署

6

1 東京支所管内 粗飼料事業推進研究会 研修会「酪農経営の法人化について」 下田 東京支所

6 酪農とちぎ農業協同組合 バーンミーティング1戸 村上 東京支所

7 酪農とちぎ農業協同組合 職員研修会 村上 東京支所

6-10 福島県酪農業協同組合 新人職員研修 村上・丹戸・猪内・下田 仙台支所

23 らくのうマザーズ購買新人研修 研修会「酪農協購買職員が知っておくべきこと」 久保園 福岡支所

78 茨城県酪農技術者連盟総会 研修会「酪農経営の法人化について」 下田 東京支所

12 長野県家畜改良協会中信支部研修会 研修会「哺育管理技術~“強化”哺育の理論と実践~」 下田 東京支所

8

4 標茶町農業協同組合 飼料設計勉強会 村上 東京支所

22 高知県酪農連合協議会 研修会「酪農経営の改善について」 丹戸 大阪支所

25 ふくおか県酪協県南サイレージ共励会 研修会「イタリアンの栽培・調製について」 久保園 福岡支所

26 JA佐賀佐城三振地区合同研修会 研修会「イタリアン・イネWCSの有効活用について」 久保園 福岡支所

全酪連購買部 酪農生産指導室の活動状況

平成28年会員指導・購買職員初級研修開催される!

平成28年6月〜8月

Information

●酪農 TOPICS 「グッドスタートプレミアム」のご紹介 ……………………………………… 2●原料情勢………………………………………………………………………………………… 3●粗飼料情勢……………………………………………………………………………………… 4●世界一受けたい酪農講座

 子牛と育成牛の新しい話題 ラリー・チェイス技術顧問 ………………………………………8●大場真人の技術レポート 初乳の科学 ………………………………………………………… 10●行列のできる酪農経営相談所 準確定申告について ………………………………………… 1 2●全酪カレンダー連動企画 「モーベスト」 ……………………………………………………… 14● information ………………………………………………………………………………… 15

 去る平成 28年 9月 14日(水)~ 16日(金)、全酪連酪農技術研究所(福島県矢吹町)にて会員指導・購買職員初級研修が開催され、全国の会員より総勢 14名もの方々にご参加いただきました。広範囲な酪農技術・知識の習得(研修カリキュラム参照)を目的としておりますが、参加者同士の情報交換の場にもなり、大変有意義な研修となったと思われます。また、今年4月に稼働している若齢預託施設も見学して頂き、本事業の取組みへの理解も頂くことができました。参加者の皆様には十分満足いただくには至らなかったと思いますが、研修後のアンケートで頂戴したご意見・ご提案等を参考にさせていただき、今後もより一層充実した内容の研修を継続して企画して参ります。 貴重な時間と費用を本研修のために割いてくださいました会員各位に対し、心より感謝申し上げます。研修

研修カリキュラム区分 内容 担当

9/14(水)

式 開講式・挨拶 丹戸講義 酪農・飼料情勢 山崎講義 乳牛の生理(全般) 三輪講義 哺育・育成の管理 三枝/村山

9/15(木)

講義 移行期管理 小畑講義 流通粗飼料について 久保園講義 配合原料について 久保園

講義 自給飼料・サイレージ調整・堆肥処理 三枝/松場

実習 (搾乳作業・フィルテル牛・若齢預託施設) 猪内/西澤

講義 泌乳生理(搾乳技術/衛生管理) 猪内

9/16(金)

講義 乳牛の消化生理 小畑講義 カウコンフォート 小畑講義 酪農経営(DMSシステム) 丹戸式 閉講式 下田

後のフォローアップとして、弊会推進スタッフとそれぞれの生産現場にて情報共有させていただければ幸いです。 今年度は、指導・購買担当 3年以内の職員を対象とした初級研修でしたが、来年度は 5~ 10年の職員を対象とした中級研修を予定します。

代用乳溶解実習の光景

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