1 はじめにSuGIMoTo Ryoichi, Y巫AsHITA Masafumi 1 はじめに...

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1 現代理科教育学からとらえた自由試行と中学校理科における実践 杉本 良」,山下 雅文特 tMessing about’from the View Point of Science Education Theory in Today and Practical S白dy in Lower Secondary Science SuGIMoTo Ryoichi, Y巫AsHITA Masafumi 1 はじめに 自由試行が日本の理科教育界に紹介されてから,30年近く経 過している。その間,小学校・中学校の理科授業において,数 多く自由試行を取り入れた実践がなされてきた。しかしながら, 探究学習が全盛の1970年代当時においては,自由試行は授業過 程の一部分として取り上げられることが多かった。中でも導入 部分に用いられることが多く,理科指導の中核とはいえなかっ た。入江・馬杉(1978)の研究でも,子供の学習意欲が高まる など情意面の変化を述べているが,子どもの認知的変容が中心 ではなく,多岐探究学習と命名されたことからも分かるように, 主体的な探究により,科学概念の理解,科学的探究方法の習得 に主眼をおいていた。 理科における探究能力の育成や科学の方法の習得は,今日に おいても重要な学習内容であるが,その当時は科学技術の進歩 をスローガンに,日本もアメリカなどの先進国に追いつかなけ ればといった風潮があったため,現在と同じように個性や創造 性を伸ばす教育も,形式的には述べられていたが,実質的には 行われていなかった。従って,自由試行の考えも探究学習のな かで埋もれていったものと思われる。しかし,1980年代後半か ら理科教育の考えが,子どもの既有の概念に着目した構成主義 的な理科学習論が出てきたことや,また,日本も経済的に先進 国となり,いじめや不登校など学校教育の欠陥が浮き彫りにな り,子どもの個性や認知的な概念形成を重視する子ども中心の 考え方に変わってきた経緯がある。そこで,指導方法として自 由試行が再び注目されるようになってきた。 Messillg Aboutの語源はスコットランドの児童文学者Ken- neth Grahame(本業はイングランド銀行のセクレタリー,1859 -1932)が凄分の子供のために書き下ろした有名な童話「The Wind iMhe Willows」の中の一節からきている。この話は喧 繰で普通の生活と静かで上品な生活との葛藤を森の動物になぞ らえた,12章からなる比喩的な物語(寓話)である (JSeltzer, 1996)。 ホーキンスが引用した一節は,第1章の「The River Bank」 でネズミとモグラがボートを漕ぎながら,ネズミの人生観を比 喩的に語ったものである。 ¶tNice?It’s the only thing,”said the Water rat s◎lemnly, as he leant fOrWard f◎r hiS StrOke. tBelieVe men, my yOUng friend, there iS nOthing abSOIUtely nOthing-一一half SO mUCh worth doing as simplyアκθs∫沈9αδ02∂il〕boats. Simply meSSin9,¶てhe Went On dreamily,”meSSing-abOUt祖一bOatS- messingノ, ホーキンスがメッシングアバウトの発想をESSに取り入れた動 機は,大学生を教えていて,彼らの既有の概念形成が不十分で あることを認識したためである。そのきっかけをホーキンスは 次のように述べている。 「大学の教師として私は長い間,学生の知的な過程における 理解の困難さについて,大学の教育内容が複雑で難しいためで なく,それは主に家庭的背景や教育の初期段階での形式的な教 育に問題があると疑っていた。一たとえば,かれらがプトレマ

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Page 1: 1 はじめにSuGIMoTo Ryoichi, Y巫AsHITA Masafumi 1 はじめに 自由試行が日本の理科教育界に紹介されてから,30年近く経 過している。その間,小学校・中学校の理科授業において,数

1

現代

理科

教育

学か

らと

らえ

た自

由試

行と

中学

校理

科に

おけ

る実

杉本

 良」,山下 雅文特

tMessing 

about’from 

the View 

Point of Science 

Education Theory 

in Today 

and

  

         Practical S白

dy 

in 

Lower Secondary 

Science

SuGIMoTo Ryo

ichi

, 

Y巫AsH

ITA Masafumi

1 は

じめ

 自

由試

行が

日本

の理科教育界に紹介されてから,30年近く経

過し

てい

る。

その

間,小学校・中学校の理科授業において,数

多く

自由

試行

を取

り入

れた

実践

がな

され

てき

た。

しか

しなが

ら,

探究

学習

が全

盛の

1970年代当時においては,自由試行は授業過

程の

一部

分と

して

取り上げられることが多かった。中でも導入

部分

に用

いら

れる

ことが多く,理科指導の中核とはいえなかっ

た。

入江

・馬

杉(

1978)

の研究でも,子供の学習意欲が高まる

など

情意

面の

変化

を述べているが,子どもの認知的変容

が中心

では

なく

,多

岐探

究学

習と

命名

され

たこ

とか

らも

分か

るよ

うに

主体

的な

探究

によ

り,科学概念の理解,科学的探究方法の習得

に主眼をおいていた。

 理

科に

おけ

る探

究能力の育成や科学の方法の習得は,今日に

おい

ても

重要

な学

習内容であるが,その当時は科学技術の進歩

をス

ロー

ガン

に,

日本もアメリカなどの先進国に追いつ

かなけ

れば

とい

った

風潮

があったため,現在と同じように個性や創造

性を

伸ば

す教

育も

,形式的には述べられていたが,実質的には

行わ

れて

いな

かっ

た。従って,自由試行の考えも探究学習のな

かで

埋も

れて

いっ

たものと思われる。しかし,1980

年代後半か

ら理

科教

育の

考え

が,子どもの既有の概念に着目した構

成主義

的な

理科

学習

論が

出てきたことや,また,日本も経済的に先進

国と

なり

,い

じめ

や不登校など学校教育の欠陥が浮き彫りにな

り,

子ど

もの

個性

や認知的な概念形成を重視する子ども中心の

考え

方に

変わ

って

きた経緯がある。そこで,指導方法として自

由試

行が

再び

注目

され

るよ

うに

なっ

てき

た。

 本

研究

では

構成

主義的理科学習論からみた自由試行について

考察

し,

また

,中

学校

理科

第一

分野

の単

元に

おい

て,

実験学

級,

対照

学級

の二

群に

ついて,実際に授業実践し,自由試行の有効

性に

っい

て検

討し

た結

果を

報告

する

2 自

由試

行の

意味と日本における展開

 Messillg 

Aboutの語源はスコットランドの児童文学者Ken-

neth 

Grahame(本

業は

イン

グラ

ンド

銀行

のセ

クレ

タリ

ー,

1859

-1932)

が凄分の子供のために書き下ろした有名な童話「

The

Wind

 iMhe 

Willows」の

中の

一節

から

きて

いる

。こ

の話は喧

繰で普通の生活と静かで上品な生活との葛藤を森の動物に

なぞ

らえ

た,

12章か

らな

る比

喩的

な物

語(

寓話

)で

ある

 (

JSeltzer,

1996)。

 ホ

ーキ

ンス

が引

用し

た一

節は

,第

1章の

「The 

River Bank」

でネズミとモグラがボートを漕ぎながら,ネズミの人生観を比

喩的

に語

った

もの

であ

る。

 ¶tN

ice?It’

s the 

only thing,

”said 

the Water 

rat s◎

lemnly, 

as

he leant 

fOrWard f◎

r hiS 

StrOke. 

tBelieVe men,

 my 

yOUng

friend, there 

iS nOthing 

abSOIUtely nOthing-

一一half 

SO mUCh

worth doing 

as simplyア

κθ

s∫沈

9αδ

02∂il〕

boats. 

Simply

meSSin9,¶

てhe 

Went On 

dreamily,”

meSSing-abOUt祖

一bOatS-

messingノ,

 ホ

ーキ

ンス

がメ

ッシ

ング

アバ

ウト

の発

想を

ESSに取

り入

れた

機は,大学生を教えていて,彼らの既有の概念形成が不十

分で

あることを認識したためである。そのきっかけをホーキンスは

次の

よう

に述

べて

いる

 「大学の教師として私は長い間,学生の知的な過程にお

ける

理解の困難さについて,大学の教育内容が複雑で難しいた

めで

なく,それは主に家庭的背景や教育の初期段階での形式的な教

育に問題があると疑っていた。一たとえば,かれらがプト

レマ

イオスの天文学を理解してないようにみえる理由は明らかに単

に相対運動の概念を形成していないか,あるいは光と陰の幾何

学的

関係

を理

解し

てい

ない

ため

であ

る。

・・

とき

どき

この

よう

学生

には

,e拗

稚園

に再

訪問

した

”よ

うな

実験

室で

の作

業を

行う

(理

科学

習の

)ス

タイ

ルが

,彼

らの

知的

能力

を飛

躍的

に解

き放

つで

あろ

う…

  

」(

Hawkins,1965)

 自

由試

行と

は英

語の

メッ

シン

グア

バウ

ト(

Mess

ing 

Abou

t)

から

きて

おり

,こ

れは理科教育のカリキュラムで,アメリカの

ESS(

Ele

ment

ary 

Sci

ence

 St

udy)

の指

導者

であ

るホ

ーキン

(David 

Hawkins)

教授の命名したものである。

所属 ・鳥取大学教育学部,

継広島大学附眉福山中・高等学校

キー

ワー

ド:

中学

校理科,構成主義,自由試行

 そ

の後

,1970年

代に

ESSカリ

キュ

ラム

が栗

田(

1965)に

より

日本

に紹

介さ

れ,

Messing aboutが

「自

由試

行」

と訳

され

て,

探究学習の一部としてB本

で広く行われた。

 庭野・栗田(1988)

は自由試行のメリットとして,次の

よう

な視点を挙げている。すなわち,自由試行は,一組の実験器具

や材

料を

一人

ひと

り,

又は

少人

数の

グル

ープ

の児

童に

配布

し,

何の

指示

もせ

ず,

それ

らを

いじ

り回

して

(lnessmg 

about)彼

の好きなことややりたいことを自由にさせる活動であるが,器

Page 2: 1 はじめにSuGIMoTo Ryoichi, Y巫AsHITA Masafumi 1 はじめに 自由試行が日本の理科教育界に紹介されてから,30年近く経 過している。その間,小学校・中学校の理科授業において,数

2杉本良一・山下雅文:現代理科教育学からとらえた自由試行と中学校理科における実践

具を

壊し

たり

,危

険な行為は禁ずる。これには次の2つ

の効用

があるとしている。

(1)

指導

法の

研究一

児童

は与

えら

れた

器具

や材

料で

どん

なこ

に興

味を

持っ

たり

持たなかったりするか。材料や器具の選択の

仕方

等を

知っ

て,

指導法や指導過程のヒントをつかむことによ

り,

あり

のま

まの

活動

状況

が把

握で

きる

こと

(2)

自由

試行

が授業

の導

入に

役立

つ一

器具

や材

料を

はじ

めに

たせ

,自

由に

試行

させることにより,子どもが実験器具や材料

に興

味を

持ち

,取

り扱い方にも慣れる。十分に器具や材料に慣

れた

とこ

ろで

授業

に入ると,生徒は落ち着いて授業に取

りかか

る。

児童

は新

奇な

ものに出会うと好奇心にかりたてるが,好奇

心を

満足

させ

てや

るこ

とが

大切

であ

る。

 田

中(

1978)

はホーキンスのメッシングアバウトの考

えや方

法を

,日

本の

教育

事情に即して,修正して取り入れた学習が自

由試

行で

ある

とし

,次

のよ

うに

定式

化し

てい

る。

 ま

ず学

習の

動機

付け

や導

入に

つい

て,

  ①興味関心を持たせる。

  

②全

員に

共通

の体

験を

させ

る。

  ③問題を発見させる。

  

④器

具・

機材

や装

置の

取り

扱い

に慣

れさ

せる

 こ

のよ

うな

目的

で実験器具や材料であるt物

”を十分与え,

自由

にい

じり

まわ

させ

ると

して

いる

 次

に,

展開

の段

階で

の自

由試

行と

して

  

①問

題を

明確

化し焦点化する

  

②ど

の方

法で

解決

する

か予

備実

験を

する

  

③測

定と

か観

測な

どの

必要

性を

感じ

取る

  

④い

くつ

かの

方法

から

決ま

りら

しい

もの

を見

つけ

る。

そし

て,

最後

に,

まと

めの

段階

の自

由試

行と

して

  

①事

象を

再確

認し,経験を深める

  

②他

の幼

児や

児童が実施してる動作や実験をそのまま模倣

  

 し

て経

験を

広め自然のきまりを発見する

  

③新

しい

問題

を発見する

  ④他に転移する。

と導入・展開・まと

めのすべての授業段階に白由試行を適用し

拡張した解釈をしている。

 さ

らに

,教

師の

役割について,次のような配慮が必要である

とし

てい

る。

すなわち,幼児・児童の試行の傾向を事前にでき

るだ

け詳

細に

把握

し,

環境

の整

備と

充実

にっ

いて

十分

配慮す

る。

共に

考え

,共

に探

究する良き相談相手となり,幼児・児

童にベ

スト

の教

材を

ベス

トの方法で与える。常に危険防止の配慮をし

たり

,臨

機応

変に

行動

する

など

であ

る。

 こ

のよ

うに

,田

中は

広範

囲に

わた

り,

自由

試行

の指

導方

法を

児童

中心

型の

指導

法の

一っ

とし

て位

置づ

けて

いる

 ま

た,

入江

(197

9)は,特に探究の過程を重視し,多岐探究

学習

と称

して

,問

題発見の場として,自由試行を取り入れてい

る。

すな

わち

探究

学習の形骸化を防ぐためにメッシングアバウ

トを

導入

し,

子ども一人ひとりに自然の事象についての豊富な

基礎

的体

験を

与え

ることの必要性を強調した。このとき

,いじ

くり

まわ

す活

動は

子ど

もに

とっ

て興

味の

ある

事象

であ

るこ

と,

ねら

いと

する

単元

目標に関連したものであることなどいくつか

の視

点を

述べ

,具

体的

実践

を展

開し

てい

る。

 丸本(198Dは,自由試行は日本独白の解釈が付け加え

られ

たも

のと

して

いる

。すなわち,わが国では1970年

前後か

ら低学

年の

理科

で自

由試

行を実施する試みがなされた後,小学

校全般

にわたって主体的な問題解決の学習における導入段階で,これ

を活

かす

試み

がな

され

,こ

れを

「自

由な

試行

活動

」と

呼ぶ

よう

になったが,これはホーキンス教授の形式陶冶に力点をおく探

索活動というより,形式と実質を調和させ,子どもの主体

性を

貫く問題解決を成立させるための工夫でわが国独自のものとい

えるとしている。

 森本(1992)

はメッシングアバウトはホーキンスらによって

開発された初等理科カリキュラムESS 

(Elementary 

Science

Study)

を支える中心概念で,この概念はB本

で「自由試行」と

訳され,学習に対する動機づけという,教育内容から分断され

た,単純な教育方法改善の視点として位置づけられるにす

ぎな

かっ

たと

述べ

てい

る。

 このように自由試行に対して過去に多くの解釈や実践がなさ

れてきたが,自由試行の実践においては,授業展開の時間

がか

かりすぎる,準備物が数多く必要で教師が大変である,遊

びに

なりやすいなどの実践上で問題もあった。しかし,この指

導法

は日本に導入されて20年

以上経過して,拡大解釈やいくらかの

修正

がさ

れな

がら

,現

在で

も実

践が

なさ

れて

いる

。最

近で

は,

次に述べるように構成主義的視点から再評価がなされ,再

び脚

光を

浴び

つつ

ある

3 現代理科教育学からとらえた自由試行

 森本・河輪(1986)

は従来の解釈に加えて,新たな視点から

メッシングアバウトを再評価している。すなわち,ホーキ

ンス

理論は,従来の理科授業と異なり,知識体系の教師主導型の授

業方法から,学習者固有の考え方を重視している。これはこの

理論が相対主義的な科学観に立脚しているためであるとしてい

る。また,ホーキンスは科学理論形成において,技術の役割を

重視しており,この思想はデューイの科学の方法論を継承

した

もの

で,

自由

試行

は教

育の

場で

これ

を具

体化

した

もの

であ

ると

している。そして現在,欧米の理科教育界を席巻している構成

主義的アプローチによる理科学習論の源泉にホーキンス理

論が

あるとしている。

 ま

た,

森本

(1992)

は構

成主

義視

点か

ら自

由試

行を

再検

討し

経験主義を越えるものとしてとらえた。ホーキンス理論は,み

かけ上,経験主義的様相を呈しているが,子どもの素朴概

念か

ら,

経験

に束

縛さ

れな

い子

ども

自ら

説明

する

論理

を形

成す

るこ

とを騒指す学習論であると述べている。さらに,自由試行はデ

ューイなどの経験主義とは一線を画すものとしてとらえ,ホー

キンスがメッシングアバウトを導入することにより強調し

たか

った

のは

,「

子ど

もの

科学

」の

成立

であ

ると

して

いる

 ホーキンスは知識よりも,科学の方法が理科教育のもっとも

大切

な実

践課

題で

あり

,ホ

ーキ

ンス

}こ

よる

科学

の方

法は

プロ

スス

キル

とい

うよ

り,

ライ

ル(

G.Ryle)

によ

る「

手続

き的

知識

(procedural 

knowledge)」

とよ

ぶも

ので

ある

とし

てい

る。そ

は行動を伴うものであり,プロセススキルのように定式化

され

ず,

極め

て個

人的

なも

のと

とら

える

こと

がで

きる

とし

てい

る。

 ホーキンスが提起するメッシングアバウトは,子ども一人ひ

とりに基礎的な考え方の構造を構成する機会だけでなく,初心

者に学習の仕方くlearning 

h◎w 

to leam)

を習得する機会を

与え

るも

のと

解釈

でき

ると

して

いる

 他方,堀(1992)

はホーキンスはデューイの影響を強く受け

てお

り,

デユ

ーイ

が「

教育

とは

経験

の再

構成

の過

程で

ある

」と

いっているのを受けて,ホーキンスが「教授・学習は経験

の世

Page 3: 1 はじめにSuGIMoTo Ryoichi, Y巫AsHITA Masafumi 1 はじめに 自由試行が日本の理科教育界に紹介されてから,30年近く経 過している。その間,小学校・中学校の理科授業において,数

鳥取大学教育学部教育実践

研究

指導

セン

ター

研究

年報

 第

7号 

1998年3月

3

界の

拡大

」と

いっ

ていることに対応するとしている。ホー

キン

スの

メッ

シン

グア

バウトを基礎とした授業論は,構成主義

学習

論と

よく

似て

いる

としている。ホーキンスは,子どもたち

の科

学的

概念

の理

解を

妨げたり,制限したりする認識論的な障

害と

なる障壁をクリティカ

ルバ

リヤ

ー(

Cr{tic

al bar

riers)

とよ

び,

子ど

もた

ちが

科学

的概念を形成・獲得する場合に考慮すべ

き要

因としている。

 筆

者は

エピ

ソー

ド記憶という認知科学的視点から,自由

試行

をと

らえ

てい

る。

すなわち,理科の実験・観察のエピソー

ド記

憶は

子供

によ

り数

多く保持され,また一人ひとり異なっている

こと

を指

摘し

た(

杉本

,19

95a)

。さ

らに

肯定

的エ

ピソ

ードを

たせ

るよ

うな

実験

・観

察が

理科

学習

に役

立つ

こと

述べ

てい

るが

自由

試行

によ

る観

察・実験は,子どもに,その内容は一人

ひと

り異

なる

もの

の,

時間と場所や観察・実験が共通している

とい

うエ

ピソ

ード

記憶

を持

たせ

るこ

とに

通じ

てい

ると

考え

る。

 理

科は

直接

経験

が最も重要であり,児童・生徒の実験・

観察

にお

ける

情報

処理

過程の認知的な側面にっいては十分解明され

てい

ない

のが

実状

であるが,子どもには具体的な実験・観

察能

力が

必要

とさ

れて

いる。その前提としては子どもが理科に

対す

る肯

定的

なイ

メー

ジを持ち,理科の実験・観察に親しみ,

肯定

的な

エピ

ソー

ドの

記憶を積み重ねておく必要がある。理科の実

験指

導に

おい

て,

教師の実験に関するイメージやエピソー

ドと

児童

・生

徒の

過去

のエピソード記憶の違いが,両者のコミ

ュニ

ケー

ショ

ンギ

ャッ

プを生じ,理科指導の妨げとなる可能性

があ

る。このようなときに,自由試行を理科授業の中に取り入れて,

共通

のエ

ピソ

ード

を形成することにより,理科学習の意味

を再

構成

する

とき

に多

いに役

立っ

もの

と考

える

 調

査(

杉本

,19

95b)

によ

ると

,特

に小

学校

の理

科実

験の

記憶

は中

・高

校・

大学

生と同様,数多く保持されていることが分か

って

いる

。小

学生

がよく記憶して楽しいといった実験は大

学生

でも

同様

の傾

向が

みられた。また,すべての学校段階において

否定

的な

エピ

ソー

ドよりも肯定的エピソードを持つものが

多い

こと

が分

かっ

てい

る。子どもの情報処理能力を育成するには肯

定的

なエ

ピソ

ード

を持たせることが重要であると考える。

教師

は彼

らの

過去

のエ

ピソ

ード

を知

るべ

きで

あり

,か

つ,

楽し

い,

興味がある,不思議であるなどの肯定的エピソード記憶を持っ

ように実験を導くべきである。そのため児童にとっては,直接

手を

動か

すハ

ンズ

オン

の理

科学

習が

重要

であ

ると

考え

る。

 このように,自由試行の考え方はホーキンスが提唱した当時

には

認知

科学

的,

ある

いは

構成

主義

的視

点は

あま

りな

かっ

たが

現代理科教育学から解釈しなおせば,今後の理科教育にとって

示唆

する

もの

が数

多く

ある

と考

える

 さらに,ホーキンスの教授・学習論は,○△口という三つの

局面からなっている。この三つの局面は,順序や方式にあまり

こだわらないため,○△口という記号で表されているが,一般

的に授業における子どもたちの思考の流れに相当する。表1は

○△

亡]

相の

解釈

の時

代に

よる

違い

を比

較し

た。

構成

主義

的考

方と

思わ

れる

部分

には

下線

を引

いて

示し

た。

4 中学校理科における自由試行の実践と評価

 自由試行を実践するには課題も多いが,本研究では,中学

第1分

野について,実践授業を行った。自由試行の実践に当た

っては,どの時期にどのような題材を取り上げるかが重要と

る。生徒たちが興味・関心を持ち,自ら探究できる題材であ

か,試行錯誤できる題材か,探究の過程において生徒の発見が

あるかなどを吟味しておく必要がある。また,単に定性的な特

徴の発見だけでなく,学習段階によっては測定値のグラフ化

その考察をすることで法則を数式で表していくていくことが重

要と

なる

 今

回,

振り

子運

動を

題材

とし

た自

由試

行を

3時間

を使

って

業実践の具体的展開をした。さらにこれについて分析,評価

行っ

た。

(1)

対象

生徒

・実

施方

法・

準備

対象

学級

:広

島大

学附

属福

山中

学校

3年生

1クラ

(男

子20名

,女

子20名

,計

40名)

一こ

れを

実験

学級

とす

る。

 他に,自由試行を行わない通常の授業を実施した対照学級

表1 ホーキン

スの

○△

口の

局面

の解

釈の

推移

局面

ホーキンス(1965)

入江(197

4)

森本・河輪(1989)

堀 (1992)

 子

供た

ちの

自己

体アの

必要性を強調し

ス場面

であ

る。

 自

由に

諸事

象に

対オて

探索的な活動を

sうことにより,学

Kの目的を明確に

オ,自然事象に対す

骼ゥら

の知識を築き

 自由試行により

タ験観察した事象

ノ対して子どもた

 メツシングアバウ

g,す

なわ

ち自

由で

アかれていない探索

Iワーク,非構造的・

Jオス的である。

ちが

どの

よう

な考

○の局

@β由試テテ

えを

もっ

てい

るか

上げ

る場

であ

る。

を,

教師

が知

る段

Kである。

自分

なり

の考

え方

△の局

面ス岐

プロ

グヲ

 遅進児と速進児の

キがでるので,多岐

Iにプログラムを準

�キる

 子ど

もた

ちが

自分

ゥ身で選択した探究

ロ題に教師が方向付

ッを与える。

=課

題を

追求

して

いュ場

である

 多

様な

考え

方に

桙クる

教材を与

ヲ,一人一人に即

オた学習活動を行一

、段階である。

子ど

もた

ちの

考え

 理論化の段階,子

沒ッ士

の討論も含め

ス質疑一応答をす

驕B

方を

意味

づけ

る,

つ 

今ま

での

学習

ョをまとめる段階

ナある

。口の局面

@其万

 経

験を

互い

に話

し№

「,討論し,ある

�xの

理論化を行う

i階である。

まり

,理

論化

する

場ナあ

る。

Page 4: 1 はじめにSuGIMoTo Ryoichi, Y巫AsHITA Masafumi 1 はじめに 自由試行が日本の理科教育界に紹介されてから,30年近く経 過している。その間,小学校・中学校の理科授業において,数

4杉本良一・山下雅文:現代理科教

育学からとらえた自由試行と中学校理科における実践

して

1クラ

ス(

男子2◎

名,

女子

21名,

計41名

)を

設定

した

実施

時期

:1997年

度の1学

期末に実施した。

生徒

の既

有知

識:生徒は小学校で等時性などの振り子運動の定

性的な特徴は学習しているが,中学校1分

野の内容であ

る「

動と

エネ

ルギ

ー」

はま

だ学

習し

てい

ない

状況

であ

った

準備

物:

単振

り子,剛体振り子,バネ振り子,連成振り子など

 を

中心

とし

て生

徒各自が興味を持った実験が自崩にできるよ

 う準備をした。

実施

方法

:実

験の

グループ分けは,1班

4人計10班で行っ

た。

 10班で全体3時間

,9種類の実験項目を扱った。また

,そ

 ぞ

れの

時間

に実

施した実験の内容を把握するためにレポート

 を提出させた。

② 

授業

展開

・生

徒の具体的活勤

 「

各班

,興

味を

持った道具で自由に実験を行い,その現象の

法則

性を

見つ

けて

みよ

う」

と教

師か

ら投

げか

けた

 そ

の際

,定

性的

な特徴だけでなく,実際に各物理鐙の間には

どの

よう

な規

則性

があ

るか

をグ

ラフ

を作

成し

て各

班で

討論

し,

考察するよう指示し

た。

 実

験器

具の

使い

方などについて若干の説明はしたが,測定に

つい

ての

具体

的な

指添

はな

るべ

くさ

けた

○自

由試

行し

た学

級(実験学級)の生徒の活動

・生

徒は

初め

自分

たち

でテ

ーマ

を決

める

こと

に対

して

戸惑

って

いた

。振

り子

を振らしたり,器具を動かす中でテーマを決めて

いった。

・大

部分

の班

は,

小学校で学習した内容,振り子の振れる時間

(周

期)

はお

もりの

質量

や振

れ幅

(振

幅)

によ

らな

いこ

と,

れる

時間

は振

り子

の長

さに

関係

する

など

の確

認実

験か

ら始

めた

・こ

の中

で,

振れ

る角度が大きくなるほどわずかずつ周期が長

くなる結果を得て驚

いていた班があった。

・ま

た,

振iり

子の

長さ

を糸

の長

さそ

のも

のと

して

測定

して

いる

班がほとんどであ

ったが,糸の長さが同じでも,おも

りを

2個

横ま

たは

縦に

つな

げて振り子を作り実験すると双方の結果が異

なる

とい

う結

果を

得た

班が

あっ

た。

・そ

の結

果振

り子

の長

さは

おも

りの

中心

まで

の長

さを

とる

べき

であると気づいた。

・こ

の班

の結

果を

他の班に知らせることにより,正しい振り子

の長

さを

考察

する

こと

がで

きて

いた

・長

さと

周期

の関

係については,振り子の長さが短いため誤差

を大

きく

して

しま

った班や,3種

類の長さの測定結果から長さ

と周

期に

は直

線関

係があると誤った結論を出している班

もあっ

た。

結局

,周

期の2乗

が振り子の長さに比例するという法則を

生徒

自ら

発見

する

こと

はで

きな

かっ

た。

 さ

らに

,剛

体振

り子と糸の振り子が同じ長さであっても,そ

の周

期は

剛体

振り子が小さいことや,振り子の糸が途中で釘に

あた

った

場合

の力

学的

エネ

ルギ

ー保

存の

法則

を発

見し

てい

た。

・また,法則まで{こはまとめられなかったが,剛体振り子

など

で支

点の

摩擦

を大

きくするとすぐ停止するなど摩擦力と振動の

関係を考察する班もあった。

・衝

突球

の運

動に

対し

ても

強い

興味

を示

して

実験

・観

察を

進め

た班

もあ

った

写真

1 自

由試

行の

授業

風景

1

写真

2 自

由試

行の

授業

風景

2

○自由試行しない学級(対照学級)の生徒の活動

 実験学級のクラスと同時期に2時

間をかけて,振り子の

周期

が重りの重さによらないこと,振り子の等時性,すなわち

周期

が振

幅に

よら

ない

こと

,そ

して

周期

と長

さの

関係

を調

べさ

せ,

作図させる授業を行い,振り子の周期の特徴について実験

をさ

せ,

教師

がま

とめ

た。

 生徒実験では,ほぼミスのないよう,教師が実験上の注意を

行い,グラフ化や特徴の整理(周期の2乗

をとって,グラ

フを

書くなど)を行った。このように,ほとんど教師主導で行

って

いく

授業

を展

開し

た。

(3)

 授業き羽苗と考察

 実験学級の授業は,生徒が主体的に実験器具を自由試行する

なかから,自然法則を考察していこうというものである。

この

展開に対し,生徒は,初めは何をどう調べればよいかと悩

んで

いる姿もあったが,興味を持ち始めると意欲的・積極的に

実験

を進めていた。一度の実験だけでは,法則にまとめることがで

きな

いこ

とに

気づ

き,

繰り

返し

,正

確に

測定

する

よう

工夫

して

いく

創造

的な

態度

が見

られ

た。

 生徒に以下のδっの設閤を設け,主に情意面の意識調査を行

った。

問1

問2

問3

実験

は楽

しか

った

です

か。

積極

的に

実験

をし

まし

たか

結果

の考

察や

工夫

点に

つい

て意

見を

出し

まし

たか

Page 5: 1 はじめにSuGIMoTo Ryoichi, Y巫AsHITA Masafumi 1 はじめに 自由試行が日本の理科教育界に紹介されてから,30年近く経 過している。その間,小学校・中学校の理科授業において,数

鳥取大学教育学部教育実践

研究

指導

セン

ター

研究

年報

 第

7号 

1998年3月

5

問4 知らなかったことについて,新たに発見できた

と思

  いますか。

問5 

この

テー

マで

続けて実験をしたいですか。

 回答は,強くそう思うを2,少しそう思う1,

どちらで

もな

い0,

少し

違う

と思

う一

1,強

く違

うと

思う

一2と

して

5段

評定で行った。

 意

識調

査の

結果

を表2,及び図1に

示す。なお,比較のた

め,

自由

試行

を行

わず

,教師主導で実験を行った対照学級の意識調

査の

結果

も示

して

いる。調査の有効回答数は実験学級が33,

照学級が34で

ある。

わかってくる」など授業に取り組む前向きな感想が多く見

られ

た。

一方

,「

テー

マを

探し

て実

験す

るこ

とは

難し

い」

「結

局,

法則

がう

まく

まと

めら

れな

かっ

た」

など

の感

想も

見ら

れた

 自由試行の実践では,教師が多種の実験を準備し,各グル~

プの動きをつぶさに把握していかねばならないという難し

さが

ある。しかし,生徒たちが試行錯誤する中で考えたことや

,生

徒の

探究

能力

など

を,

教師

が個

別こ

把握

でき

る重

要な

チャ

ンス

いえる。また,生徒の知識や経験もそれぞれ違うレベルで

あっ

たものが,ある程度均一化し,生徒が,お互いに肯定的エ

ピソ

ード

を共

有で

きる

とい

う利

点が

ある

もの

と考

える

表2 

意識

調査

の結

 評

定平

均値

タ験学

級 

対照

学級

 標準偏差

タ験学級 対照学級

P(

t)

問1

1.52

  1.

060.62 

 0.

950.01

2 *

問2

1.21

  1.

140.93 

 0.

700.

37

問3

0。63 

 0.64

0.96 

 0.

950.

48

問4

1,24

  0.

060.93 

 1.

396×

1ぴε

問5

1.57

  0.

820.

79 

 0.

94

10吋

**

*p〈

0.05 

 , **p〈

0.01

5 おわりに

 構成主義的な視点から自由試行をとらえ直すことにより,理

科授業をもう~度再構築することができると考える。そのとき

{こ

は自

由試

行の

観察

・実

験を

取り

入れ

るこ

とに

より

,子

ども

意味の再梼成を共通化する場をもつことができる。また学級の

状況を共通化する場として自由試行を活用することにより,理

科の

学習

がよ

り本

来の

目的

に近

づく

もの

と思

われ

る。

さら

に,

自由

試行

は創

造性

や生

きる

力を

育む

これ

から

の理

科教

育に

は,

今後

とも

,お

おい

に実

践さ

れる

べき

学習

指導

法と

考え

る。

ll 

  

2

i  ]・5

i評定

i平

均値

1o.5o

自由試行の実践結果

団実験学馴

翻対

照学

級i

引用

文献

問] 問2 

悶3 

e‖4 問5

図1 意識調査のグラフ

 問

1は実

験の

楽し

さについて聞いており,実験学級の方が

1.

52,

対照

学級

が1.

06で

5%水準で有意差が見られた。自由

試行

の方

が高

い評

定平

均値

を得

るこ

とが

でき

た。

問2で

は実

験学

級,

対照

学級

とも

に比

較的高い評定値で,実験に対しては生徒

は積

極的

であ

るこ

とが

いえる。問3は

実験の考察や工夫につい

て,

お互

いの

コミ

ュニ

ケーションを聞いているがプラス得点で

はあ

るが

実験

学級

,対

照学

級と

もほ

ぼ同

じで

有意

差は

見ら

れな

い。

問4は

新し

い知

識を

発見できたかを聞いたもので,創造性

につ

いて

,実

験学

級で

1.24,

統制

群で

0.

06と

大き

な違

いが

表れ

てい

9る。

また

,問

5は

継続的な探究意欲について聞いているが

これ

も大きな有意差が見ら

れた。

 最

初の

戸惑

いは

別として,自由i試

行をしていくことで興

味が

高ま

り,

自分

で法

則を発見をしたという達成感や自ら探ろ

うと

する

意欲

がで

きて

いた。生徒の感想文からも,教師主導で

の実

験で

は得

られ

ない

創意

工夫

や生

徒の

充実

感が

みら

れた

 また,「これまでの

授業

での

自分

の姿

勢が

受け

身で

あっ

た」

,「教

えら

れた

こと

だけ

でな

く広

い範

囲に

目を

1句

ける

と楽

しい

こと

David Hawk{

ns(1965)

:nMessing 

About in 

Sclence”,

 Science

 and 

Children,2ヲ

 PP.

 5-

9

∫im 

 Se▲

tzer(1996)

:http:

//

users.nbn.

net/jse]

tzer/mdex.

html

 の解説による。全文は University 

of Virginia,

 Electronic

 Te

xt 

Centerに集

録さ

れて

いる

入江

隆明

・馬

杉征

三(

1976):

「探

究の

多岐

化を

めざ

した

小・

 学校理科指導法の研究その4一

中学校「物質の特性と分離

 の

単元

構成

」,

広島

大学

教育

学部

紀要

,第

3部,

第25号

,pp.

 53-

61

入江

隆明

・馬

杉征

三(

1978):

「小

・中

学校

理科

学習

の「

白由

 行

」に

おけ

る子

ども

の活

動の

特質

(D」

,広

島大

学学

校教

育学

 部

紀要

,第

2部,

第1巻

,pp.

113-120

入江隆明(1979)

:「理科授業と多岐探究学習J,

明治図書

栗田一良(1965)

:「ESS理

科一1経

過と基本的な考え方一」

 学

と実

験,

共立

出版

,第

]1巻

1]月

号,

pp.45-

51

杉本

良一

(1995a)

:「

実験

観察

にお

ける

情報

処理

能力

に関

する

 究

一大

学生

の持

つ理

科実

験の

エピ

ソー

ドに

つい

て一

」,

日本

 科

教育

学会

研究

紀要

,第

35巻,

第3号

,pp23-

31

杉本良一(1995b)

:「理科実験観察における情報処理能力に関す

 研究」,平成6∠

年度科研費研究成果報告書,課題番号06

680

 17

5

田中正寿(1978)

:現代i哩

科教育体系,第4巻

,第6章

「子どもの自

 由

試行

によ

る理

科指

導」

,pp.

110-114,

東洋

館出

版社

庭野義英・栗田一良(1988)

:「小学校理科教育研究」,p、

94,

 教育出版

堀哲

夫(

1992)理

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座,

第5巻

,第

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pp。153-

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 米司・木村仁泰編,明治図書

森本信也・河輪達也(1989)

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about再考J,

横浜国立

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さi

1liliill]

6杉本良一・山下雅文:現代理科教育学からとらえた自由試行と中学校理科における実践

学教育学部教育

実践研究指導センター紀要,第5巻,pp.

73-

80

森本信也(1992)

:理科教育講座,第4巻

,第1章

,pp.

23-30

  

  

  

  

  

   

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

        Abst

ruct

We 

revaluate 

Messing 

abou

ピmeth

od of 

D. Ha

wkins from 

the view 

point 

of science 

education theory 

in today.

 Practical

 study

on the 

Messing 

about’

method◎

f teac

hing 

was al

so conducted 

in lower 

secondary science.

 The 

practical teaching 

of this 

method

was 

executed

 in 

two 

classe

s. 

One 

experi

mental 

class was 

conducted by 

three h◎

urs of’

Messing about’

method and 

another

c皿

trolled 

class 

was co

nducted 

by te

acher・

guide

d teaching.

 As 

a result,

 a 

change in 

the affective 

aspect was 

seen. It 

found that 

there was 

a difference 

in the 

learning conation 

and the

creativ三ty 

in th

e experimental 

ClaSS.

a